腸内環境の改善のために、日常的に乳酸菌を摂る人が増えています。市場規模も年々増えて、2017年はヨーグルトや乳酸菌飲料だけでも6000億円近い市場になっているようです。
スーパーなどで手軽に購入できる食品から、ドラックストアーやネット通販などで購入できる乳酸菌を含むサプリメントまで製品の数や種類も増えています。
それらは、単に腸をきれいにしてお腹の調子をよくするというような効果だけでなく、免疫の向上やアレルギーの改善などのからだ全体への効果、虫歯や歯周病などお口に対しての効果まで利用の幅も広がっています。
医療機関専売品の他にもたくさんの製品が購入出来るようになりました。せっかく利用するならば、効果があり且つ安全なものを選んで利用したいものです。
今回は、製品を選ぶためのポイントをまとめました。
乳酸菌の菌種で選ぶ
乳酸菌は、糖を分解して『乳酸』を産生してエネルギーをつくる細菌の総称です。
たくさんの種類が存在し、菌属・菌種・菌株で分類されてそれぞれに名前があります。
例えば、昔から販売されている明治ブルガリアヨーグルトに含まれる乳酸菌の1つには、ラクトバチルス属(菌属名)・ブルガリア菌(菌種名)・2038株(菌株名)という名前がついています。
販売されている乳酸菌のサプリメントは、各会社がさまざまな研究から選んだ乳酸菌を配合して特徴をつけています。自分の腸との相性のよいものを見つけるためにも、菌種を確認しておけば違うタイプの製品を選ぶ時の情報になります。
例えば、ビフィズス菌、クレモリス菌、ロイテリ菌などの名称の一部を覚えておいて、自分の腸と相性がよかったと感じる乳酸菌を見つけた場合は会社を変えても菌種は同じものを選ぶとか、効果を感じなかった場合に違う菌種を選んで体感に変化があるか試してみるなど、自分に合うものを探すのに役立ちます。
また、試してみる時は、2週間くらいは同じものを摂り続けることをお勧めします。
サプリメントの品質で選ぶ
サプリメント製品としては、カプセル剤、錠剤、顆粒などの形状があります。配合した成分をどこに届かせたいによって溶解のタイミングが考えられていたり、胃酸の影響を配慮するなど理由により、各社加工を工夫しているようです。
配合される乳酸菌に関して、生きた菌が腸に届く!と過大表記されたものもありますが、生きた菌でも加熱殺菌された乳酸菌でも、腸内細菌に対して効果があることが明らかにされています。
配合される乳酸菌の数にも、各社差があります。
乳酸菌サプリメント製品には1錠に10億CFUの菌を含有していなければならない基準があります。製品の宣伝で、「当社のサプリメントは1粒で乳酸菌がなんと10億個以上も!」というフレーズをみかけることもありますが、実はどの会社でも当然含まれるべき量なのです。億という単位にたくさん含まれていると錯覚してしまいますが、効果の高いメディカルサプリ製品などには1粒に100億個以上の乳酸菌が数種配合されていたりと含有量には各社大きな開きがあるようです。
製品の安全性で選ぶ
今の日本では、サプリメントの安全性や品質についての明確な規制がないため、実際には品質に問題のある製品もあるようです。
効果・成分の曖昧さが問題となり副作用が出ているなど、時々そんな情報を目にすることもありますよね。各社多様な製品がありますが、からだに入るものですから、安全につくられているものを選びたいものです。
製品の品質や製造工程の安心なものを選ぶ時には、GMP認定工場で製造されているかの確認をすることも一つの選択です。
GMPとは「適正製造規範」のことです。
原料の受け入れから最終製品の出荷に至るまでの全工程で、製品が安全につくられ品質が保たれるよう管理されています。
GMPの認定をする期間が2つあり、その基準の差に関して意見を唱えられていることはあるようですが、企業が安全な製品を提供することに配慮して製造していると考えるのであれば、商品を選ぶ時の参考にはなると感じます。
基準下でつくられた製品は、メーカーが安全性を認定マークで表示してます。
(公益財団法人 日本健康・栄養食品協会HPより)
腸内細菌を整える3つの考え方で選ぶ
腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスが大切です。
乳酸菌は善玉菌です。悪玉菌優位にならないように、善玉菌の数を増やすのが乳酸菌サプリメントを利用する主目的です。
その方法には3つの考え方があります。
1. からだに良いはたらきをする乳酸菌製品を利用する
2. またはそれを補助する製品を利用して善玉菌が増えるようにする
3. 自分のおなかに棲みついている自前の乳酸菌を活性化させる
これらは以下の呼称で分類されています
1. プロバイオティクス
2. プレバイオティクス
3. バイオジェニクス
プロバイオティクス・プレバイオティクス・バイオジェニクスに関する説明は、「乳酸菌を効果的に使うためのアプローチ方法とそのコツ」を参照ください。
プロバイオティククスとプレバイオティクスを融合して「シンバイオティクス」と呼ぶこともあります。カタカナの呼称はややこしいですが、呼び名が分類されていることも自分に合うものを見つける情報の一つとして知っていても良いかと思います。
腸内環境を改善させるサプリメント製品としては、プロバイオティククスとプレバイオティクスの2つを一緒に配合しているものを選ぶ方が良いと思います。それは、善玉菌と善玉菌のエサを一緒に摂る方が活性化されやすく効果が出やすいからです。
サプリメントを試す期間
多くの製品が存在していますが、10日から2週間くらいは続けて試してみて、お腹の調子などに変化があるかを体感して、自分に合うものを探してみてください。利用してすぐにお腹がゆるくなったり、便秘気味になったりと一時的な不調を感じる場合もあるようですが、自分の腸内環境での相性が整いバランスが変わると落ち着いていくようです。
菌との相性には個人差があるので万人に同じ反応が出るとは限りません。
お腹が緩くなる方は量を控えたり、便秘気味になる方は量を増やしたりとお腹の調子が整うまでは、量や回数の調整して試してみるのも良いかと思います。
また、免疫力を上げるなどからだ全体の効果を得るためには、3ヶ月くらいは続けて試すことをお勧めします。
まとめ
これまでに、評判の乳酸菌を試したものの友人には効いたが自分はあまり…というような経験はありませんでしたか?
腸内環境、腸内細菌は指紋のように人それぞれに違います。相性や効果が出る量なども人によって違うのです。体感も、ある人はお腹の調子がよくなったといい、ある人は肌の調子が良いと感じるなど人それぞれです。
多くの製品、またその情報が手に入るようになりました。からだに入るものですから、情報を吟味して安全な良品を選んでください。自分に合うものを見つけるための視点として参考にしていただけたら嬉しいです。
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