腸のためにはお口も大切。腸とお口との関係について

お口から腸までは一本の管になってにつながっています。
その消化管の姿は、よく土管やちくわのようなイメージで例えられます。腸はくねくね曲がっているものの口から入った食べ物が食道に入って送られていく道は1本で、途切れずに管になってつながっているのです。
食べ物が入っていくスタート地点となるお口は、腸とどんな関わりがあるのでしょうか?
今回は、腸に影響するお口との関係についてまとめてみます。

消化・吸収を助ける

お口の環境が整っていて、よく噛めること、食べ物を咀嚼して細くした状態で飲み込めることは、消化吸収のためにとても大切です。

食べ物を噛んで細かくすることは、胃での消化の負担を減らすことになります。
また、よく噛むことは唾液をたくさん出すことにもつながります。
唾液には、アミラーゼという消化酵素が含まれています。アミラーゼは、糖質(炭水化物)の分解をする酵素です。ご飯など糖質の食べ物は、唾液に混ぜながらよく噛むことで胃に届く前から分解が始まっているのです。

また、栄養を吸収するためにはらたく細胞は小腸の上皮にたくさん存在しますが、同じ細胞が腸だけでなく舌の下にも存在していることも分かっています。
からだを通る管の先端「口」から消化や吸収は始まっているのです。

昔からよく噛んで食べることを勧められるのは、こんな背景があるからですね。

免疫に関係する

現在は、環境の変化や原因物質の増加なども影響して、いろいろな食品に対してもアレルギー疾患を持つ方が増えています。

私たちのからだは、口から食べたものにはアレルギーを起こさないようにする「経口免疫寛容」というシステムを本来は持っています。外から入ってきた食べものを、なんでも敵と判断して排除してしまっては栄養が摂れなくなってしまうからです。免疫細胞が食べて大丈夫と判断してからだに入ったものには、過剰な免疫反応が起こらないように調整する仕組みです。
口から入ってきた情報を、免疫細胞が腸に先回りして知らせています。先ず、お口の周りにあるリンパ組織の口蓋扁桃などで、免疫細胞がこの食べ物は大丈夫という認識をします。そして、この食べ物は大丈夫だから免疫反応を起こす必要はないですよ〜と腸に指令を伝えているのです。
このようなお口での情報を腸に先回りして伝えるホーミングという免疫細胞の仕組みには、ビタミンAの栄養素が必要です。

ビタミンAを多く含む食材には、鶏・豚レバー、うなぎ、バター、モロヘイヤ、ニンジンなどがあります。ビタミンAはタンパク質によってからだの中で運ばれますので、タンパク質も一緒に摂ることも大切です。そして、よく噛んで食べることも忘れずに。

口臭に関係する

前述したように、口から大腸まで管のようにつながっているので、消化がうまくできないと、消化管で発生している臭気が口臭の原因になることもあります。
揮発性の臭気のある食品例としては、ネギ類やニンニクなどがわかりやすいと思います。

また、お腹の環境が悪くて、からだに不要なものが発酵や腐敗してしまうと腸内に溜まったガスなどが口臭の原因になることもあります。

お口にも腸にも作用する乳酸菌

お口の中も腸と同じように、善玉菌・悪玉菌・日和見菌がバランスを保っていることが好ましい環境です。
市販されている乳酸菌を含む製品の中には、お口の中の細菌にも作用してお腹の調子も整えるという効果を期待したものも増えてきました。
トローチの形で舐めることでお口の中に作用させる時間を保つ製品や、カプセル剤、ヨーグルトなど利用しやすい形もあります。また、乳酸菌の種類も多様です。
一例を紹介します。

BioGaia社

「ProTectis プロテクティス30錠」母乳由来のロイテリ菌株

「ProDentis プロデンティス30錠」母乳由来のロイテリ菌株と口内由来のロイテリ菌株

含有乳酸菌:ラクトバチルス ロイテリ菌 プロデンティス

 

ライオン歯科株式会社

Systema 歯科用オーラルヘルスタブレット

含有乳酸菌:ラクトバチルス サリバリウス TI2711(ティー・アイ・2711)

ジェクス株式会社、らくれん

L8020乳酸菌タブレット

L8020ヨーグルト

含有乳酸菌:ラクトバチルスラムノーザスKO3株

まとめ

お口の状態が良いことが腸のはたらきを良くすることにもつながる、良い循環ですよね。
よく噛めるようにお口の中を整えておくこと、毎日の歯磨きや歯科医院での定期的なクリーニングなどでお口の中の細菌のバランスを良くしておくことも、消化管などのからだへの負担を減らすことにつながります。
お口とからだはつながっています。
歯科医院の定期健診の際には、口のことだけでなくお腹の調子なども気になることは相談してみてくださいね。