ウィルスからからだを守る!からだの防御システム(免疫)を高める栄養素

カロリーは足りているものの、からだに必要な栄養素は足りていない「新型栄養失調」をご存知ですか?厚生労働省による国民健康・栄養調査でも若年者から高齢者まで、栄養不足が増加傾向にあることを課題視しています。

からだに必要な栄養が足りないことは、免疫力を下げることにつながります。感染症にかかりやすい、老化を進める、疲れやすい、気持ちが不安定になるなど生活の質を下げることにつながってしまうのです。

私たちのからだには、もともと自分のからだを自分で守る免疫機構があります。その機能を発揮するのに、からだの栄養状態が関わっているのです。

今回は、もともとからだに備わる防御システム(免疫)を高めるために必要な基本の栄養素についてまとめました。

からだの防御システム(免疫)を高める栄養素

タンパク質

私たちのからだをつくる基本になる栄養素です。タンパク質は、筋肉、皮膚、髪、臓器、などすべてをつくるための主成分です。また、抗体といわれる免疫反応に必要な物質や、生理活性物質といわれるからだの各器官の機能を正常に調節したりする物質もタンパク質からつくられています。

私たちのからだは常につくりかえを行なっています。
変化がわかりやすい場所でいえば、爪や髪は自然に伸びますね。からだの中の変化は見えませんが、臓器や骨も同じように常につくりかえられています。
からだの中の細胞は壊されてはつくりなおすを繰り返しています。そしてその「壊す・つくる」のバランスが保たれていることが大切です。栄養の不足は、つくるための材料が不足するということです。そして、壊すことがつくることより多いバランスになってしまうと、病気の発症や老化現象につながっていきます。

例えば、インフルエンザの予防にワクチンを打ちます。ワクチンをからだに入れてウィルスに抵抗する抗体をつくり、インフルエンザウイルスに感染するのを防ぐのが目的です。抗体を作る材料にはタンパク質が必要です。タンパク質が不足していると抗体をうまくつくることが出来ずにウィルスに感染してしまうということが、低栄養が問題となる高齢者の方などに起きているという報告もあります。

からだのつくりかえは毎日、常に行われています。
基本の材料となるタンパク質は、毎日意識的に摂リましょう。

ビタミンA

ウィルスや微生物などの異物がからだに入ってくるときの最初の関所と言える場所は、皮膚や粘膜です。バリヤ機能を発揮するには、皮膚や粘膜を丈夫にすることが大切で、そのために必要な材料がビタミンAです。
ビタミンAとしてのからだでの役割は他にもありますが、免疫に関わる代表的なはたらきには次のようなことがあります。

・皮膚や粘膜をつくる上皮細胞のはたらきにかかわりターンオーバーを正常にする
・免疫反応に必要な抗体のIgAをつくる
・腸に免疫反応ではたらくリンパ球の受け入れ口をつくる

これらは、ウィルスや異物がからだに入るのを排除したり防御するのに大切なはたらきです。免疫ではたらく細胞の数を増やしたり活性化するのにビタミンAは活躍しています。

ビタミンC

ビタミンCもからだの多くの場所でたくさんの量を必要とする重要な栄養素です。
多くのはたらきを持つビタミンCの中で、免疫に関わる代表的なはたらきには次のようなことがあります。

・コラーゲンをつくる材料になる
コラーゲンが豊富な強い粘膜をつくることで、ウィルスや微生物などの異物の侵入に
抵抗する

・白血球のはたらきを助ける
ウィルスなどに感染したときに、からだを防御しようと出てくる白血球のスピードや
はたらきを良くして、感染を初期のうちに抑える

風邪をひいた時など、早めにたくさんのビタミンCを摂ると良いというのはこの効果を期待しているのですね。

ビタミンB群

白血球が増えている時は、ビタミンB群の中のB1が大量に使われます。
ビタミンB1はエネルギーをつくる時などからだの他の部分でもたくさん必要なので、ビタミンB群はウィルスに抵抗するためにも、元気に活動するためにもしっかり摂るべきビタミンです。

からだを防御するのにはたらく白血球のためには、ビタミンCとビタミンB群は両方必要ですね。どちらも水溶性のビタミンなので摂りすぎを心配する必要はありません。調子がよくないと感じたら積極的に摂りましょう。

鉄もコラーゲンをつくる材料になり、粘膜を強くするのに役立ちます。
また、喉から入ってくるウィルスなどは気道を通りますが、気道の粘膜には繊毛という細かな毛があり、異物を排除しようと動いています。その繊毛の運動を活性化するのには鉄の存在が役立っています。

亜鉛

亜鉛も、細胞のつくり変えに大きなはたらきをしています。ビタミンAとともに皮膚や粘膜の状態を正常に維持するのに必要です。
亜鉛が不足すると、免疫器官の胸腺などのリンパ系の組織が萎縮して、免疫細胞の動きが悪くなり、免疫力が下がってしまいます。

まとめ

からだが持つ本来の防御システムを上手く発揮させるには、基本の栄養素をしっかり摂っておくことが大切です。
外敵からからだを守る皮膚や粘膜のバリヤの部分を丈夫につくりかえるのに、タンパク質、ビタミンC、鉄は欠かせませんし、バリヤの部分を正常に整えて、免疫細胞のはたらきをよくするのにはビタミンA、B、C、鉄、亜鉛なども必要です。

流行りの免疫力を上げるとされる食材も、基本の栄養素と一緒に摂ることでもっと効果を感じられるかもしれません。
薬やワクチンに頼らないからだづくりの情報として参考になれば嬉しいです。