スポーツジムやドラックストアーなどでのプロテイン製品の取り扱いをよく見かけるようになりました。筋肉増強や維持のために利用する方が増えていますが、健康維持のための栄養補給に利用することも有益なのをご存知ですか?
なぜならば、プロテイン(タンパク質)は私たちのからだに欠かせない大切な栄養素だからです。
プロテイン(protein)はタンパク質の英語名ですが、その名前はギリシャ語のproteios「第一の」という意味の言葉に由来しています。タンパク質は、からだにとって第一に重要な物質との意味が込められてプロテインと名前がつけられているのです。
タンパク質は、からだで起きているすべての生命活動のために基本となる栄養素です。
ぜひ、タンパク質の重要性を理解して、意識的に摂りましょう。
タンパク質は私たちのからだにどのくらいある?
ヒトのからだを構成する成分のおよそ60%は水分で、次に多いのがタンパク質で15~20%を占めています。体重50kgの成人の場合、約7.5~10kgがタンパク質ということになります。
このタンパク質によって、細胞や臓器、酵素やホルモンなどをつくり、私たちのからだを維持しています。
呼吸、消化、筋肉を動かすなど、すべての生命活動はタンパク質を必要としています。
タンパク質は新旧交代する
からだの中では常にタンパク質のつくりかえが行われています。
見た目の変化はなくても肝臓や腸粘膜、筋肉、皮膚など、常にタンパク質の新旧交代があります。入れ替わりの速度には差がありますが、約3週間でからだの約半分のタンパク質が入れ替わっているといわれます。
このタンパク質のつくりかえを異化・同化と言います。古いものを壊して新しくつくることです。この2つの反応のバランスを保ちながら、タンパク質のつくりかえが円滑に行われるていることが、私たちの健康を守るためにとても重要です。
食べているタンパク質の量が少ないのは、つくる材料が足りなくなるということです。こわす・つくるのバランスが保てなくなってしまうのです。毎日しっかりタンパク質を摂ることが大切な理由は、常に行われるこの反応のためです。
タンパク質は重要なはたらきがたくさんある
タンパク質は、私たちのからだをつくっています。髪、皮膚、爪、内臓、筋肉、血管などからだのすべてを形づくりその強度を保っています。
そして、それ以外にも多くの重要なはたらきがあります。
・代謝に欠かせない酵素をつくる
・筋肉をつくり、運動や筋収縮を行う
・免疫グロブリンなどをつくり、からだを防御する
・インスリンや成長ホルモンなどをつくり、からだのはたらきを調整する
・アミノ酸を栄養素としてからだに貯蔵する
・栄養素や酸素を運搬する
・エネルギーを産生する
・からだの情報伝達に関与する
これらは、私たちが生きていくのに欠かせない機能(はたらき)です。
からだの中でつくりかえられるタンパク質は、互いに協調しながら生命活動を支えています。呼吸をするのも、食べ物を消化するのも、体が動くのもタンパク質のおかげです。
そして、タンパク質自身を壊すのもつくるのもまた、タンパク質なのです。
タンパク質が足りないとどんな変化があるのか?
タンパク質が足りなくなってくると、先に記した本来の機能(はたらき)がうまくいかなくなるので、徐々にいろいろな症状につながっていきます。
・肌や爪、髪などのトラブルが起きる
・酵素が減るので消化なども含めてからだの代謝が悪くなる
・筋肉量が減り体力が落ちる
・免疫力が下がり、細菌やウィルスなどに感染しやすくなる
・ホルモンによる調整機能が低下する。小児では成長障害や皮膚炎などを起こす
・貧血になる
・思考力や集中力などが低下する
数日タンパク質を食べなかったからといってすぐに欠乏症状が出るわけではありません。私たちのからだは分解を抑えたり、分解したものを再利用したりと健気にからだの中で調整しようと頑張ります。ただし、タンパク質不足が長く続くと、調整範囲を超えてからだの不調や病気の症状などがでてくるのです。
タンパク質はどのくらい必要か?
一般的には、成人の1日のタンパク質の摂取量は、体重1kgに対して1~1.5gといわれます。
体重50kgの成人の場合、50g以上は摂れるように心がけたいものです。ちなみに、ゆでたまご1個のタンパク量は約6.5g、絹ごし豆腐は1/2丁で7gくらいですので、タンパク質を含む食材は意識して複数食べないと1日量が満たせませんね。
発育期や妊娠、授乳期、ハードなトレーニングをしている時などにはタンパク質の必要量は増します。例えば、乳児・幼児は、成人の2~3倍のタンパク質の必要量です。それは、からだの中でのタンパク質をどんどんつくりかえて大きく成長していくからです。また、トレーニング中の時やストレス過多の時、病気の時などもからだの中のタンパク質を壊す量が増しているので、つくるための材料(タンパク質)も増やす必要があります。
健康を維持するには、タンパク質の壊す・つくるのバランスが保てるように、材料(タンパク質)の補給をすべきです。
タンパク質を摂る時に気をつけること
健康な成人においては、タンパク質の過剰摂取による症状や障害の報告はありませんが、腎臓病などがある場合は、医師の管理下で摂取量を確認した方が良いでしょう。
タンパク質の摂取量に関しては、2015年版の厚生労働省『日本人の食事摂取基準』の中で「タンパク質の上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分に見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした」と記載されています。
まとめ
タンパク質が、私たちのからだを守るための基本の栄養素であることをご理解いただけましたか?
一般に、日本人の食生活ではタンパク質が不足しがちだといわれています。
普段の食事からタンパク質が多く含まれる食材を意識して足していくことも大切だと思います。例えば、朝食セットならトーストだけでなく卵もつけるとか、定食の小鉢には冷奴を足すなどの工夫です。
また、消化吸収が配慮された質の良いプロテインを、筋肉増強目的ではなく栄養補助食として利用するのもよいと思います。
タンパク質は常に必要とされるのに、タンパク質の形でからだの中に貯蔵しておくことができません。毎日、欠かさず摂ることをおすすめします。
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