ご長寿で活躍される方はお肉をよく食べる!というような話をテレビの健康番組などで見たことはありませんか?
105歳まで現役でいらした聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生、89歳で上演2000回の舞台に立たれた女優の森光子さんなど、晩年もステーキなどのお肉をよく召し上がっていたというのは有名なお話かもしれません。
では、お肉のパワーなっている栄養素はなんでしょうか?
その中心になる栄養素は、タンパク質です。タンパク質は、私たちのからだを元気にするために欠かせない栄養素です。今回は、毎日しっかり摂りたい基本の栄養素「タンパク質」をお肉で摂ることについてまとめました。
なぜお肉がいいのか
お肉はアミノ酸バランスが良いタンパク源
タンパク質はアミノ酸によって構成されています。ヒトのアミノ酸は20種類ありますが、それらが数珠のようにつながってタンパク質をつくっています。
からだに入ったタンパク質は、消化によって数珠にようにつながった状態から一つ一つの珠になるようにバラバラに切り離されます。切り離された1つの珠の状態がアミノ酸です。
私たちのからだは、タンパク質をアミノ酸の形に変えてから吸収します。そして、吸収したアミノ酸を並び替えて、再び数珠のようにつなぎなおして、タンパク質をつくりかえるのです。
からだの中でタンパク質をつくりかえる材料はアミノ酸です。なので、アミノ酸の種類や数が揃っていればつくりかえの材料が揃っているということになりますので、からだに必要なタンパク質をつくりやすい良い状態となるわけです。
からだにとって栄養価の高いタンパク質 = アミノ酸がバランスよく含まれるもの
となります。
アミノ酸の含まれている比率を科学的に評価して示す「アミノ酸スコア」という指標があります。市販のプロテインなどには、アミノ酸スコア100と表記して含有成分をアピールしているものもあります。
アミノ酸スコアが高ければ、アミノ酸バランスの良いからだで利用しやすいタンパク質ということです。これは、食材を選ぶ時の参考にすることができます。
例えば、精製米は65、ジャガイモは68とアミノ酸スコアで示されています。
そして、そのアミノ酸スコアが100になる良質なタンパク質を含む食品が、お肉なのです。
牛肉、豚肉、鶏肉だけでなく、馬肉、山羊肉もアミノ酸スコアは100です。
お肉は他の栄養素(ビタミン、ミネラル)が一緒に摂れる
お肉に含まれる栄養素は豊富です。
お肉の種類や部位により含まれる量に差はありますが、下記に示すたくさんの種類のビタミンやミネラルが含まれています。
ビタミン
B群(B1、B2、ナイアシン、B6、葉酸、B12、ビオチン、パントテン酸)
A、K、C、E、D
ミネラル
鉄、亜鉛、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、セレン、モリブデン
銅、クロム、カルシウム、マンガン、ヨウ素
食べたタンパク質をからだの中で利用するには、ビタミンやミネラルなど他に栄養素も必要になります。
例えば、タンパク質からエネルギーをつくる時には、ビタミンB群が必要です。また、からだの中の酵素反応や酵素自体にもタンパク質とビタミン、ミネラルを一緒に使います。
タンパク質と一緒に使うビタミンやミネラルの栄養素が、お肉には豊富に含まれているのです。お肉を食べると、アミノ酸、ビタミン、ミネラルが一緒に摂れるので、からだの中で効率よく利用できるのです。
ステーキを食べると元気になるとかニンニク入りの豚肉炒めが疲労回復に良いといわれるのは、お肉に含まれる栄養素からエネルギーをつくりやすいことも理由の一つでしょう。
お肉(動物性食品)は野菜(植物性食品)よりも、ビタミンやミネラルを含むものが多くあります。
例えば、好き嫌いが分かれますがレバーはとても栄養価の高い食材です。ビタミンAや鉄を多く含むことで有名ですが、ビタミンB群や亜鉛などのミネラルも豊富に含んでいます。
焼き鳥のレバー(動物性食品)1本(約30g)に含まれる栄養素を植物性食品で摂ろうとした時のおおまかな量の比較です。
・ビタミンA にんじん 3.5本
・葉酸 ブロッコリー 3/4個
・パントテン酸 アボガド 1個
・ビオチン ピーナッツ(乾) 115粒
含まれている栄養素の量の差に驚きませんか?
レバーにはギュッと栄養素が詰まっていることがわかりますね。
尚、例にした鶏以外のお肉でも、ビタミンB群は野菜よりも豊富に含まれています。
お肉を食べる時に気をつけること
お肉を食べるとお腹が張る、ガスが出る、胃もたれするなどの症状を感じる方がいます。
そんな場合は、タンパク質の消化がうまくいっていないことが考えられます。胃酸の分泌がよくない、消化酵素がうまくつくれていない、脂の消化がうまく出来ていないことが予測できます。
そして、その症状を抑えたり和らげるために胃酸を抑える薬や消化剤を常用している方も多いようです。
タンパク質は本来、胃酸に活性化されたタンパク質の分解酵素のはたらきによってタンパク質を分解します。お薬で胃酸を抑えている方は、タンパク質やビタミンの吸収も低下してしまうのです。本来、私たちは自分のからだで消化酵素をつくります。そして、その消化酵素をつくる材料もまた、タンパク質なのです。
脂を含んだお肉は3~6時間かけて胃から腸へと消化をしていきます。お肉を食べても問題なく消化吸収できる胃腸になるまで、消化の負担を減らす工夫をしながら、自前の消化酵素がしっかりつくれるからだになりましょう。
消化の負担を減らすお肉を食べる時の工夫
・脂身の少ないものを選ぶ、油を多く使う調理を避ける
・ひき肉などを利用したり、麹などの下ごしらえでやわらかいお肉で消化の負担を減らす
・果物や野菜(パイナップル、キウイ、大根おろしなど)が含む食物酵素を一緒に食べる
・食事の回数を分けて、一度にたくさんではなく少量を頻回に摂るようにする
・食前に酢の物などを食べて、胃の動きを刺激する
まとめ
タンパク質としてお肉のよさをご理解いただけましたか?
エネルギーにもなりやすいお肉、食べたら元気になれそうな気がしませんか?
年齢を重ねてもお元気に活躍される方は、単にお肉を好んでいるということだけでなく、お肉をしっかり消化吸収できる胃腸も維持されているのだろうと思います。
丈夫な胃腸の粘膜をつくるのにもタンパク質が大切です。お肉の消化も良くなるように、しっかりよく噛んで美味しく食べてください。
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