私が24歳のときから、ずっとメインテナンスに通っていただいている患者さんがいます。
かれこれ、18年のお付き合いです。
初めてお会いしたときは重度の歯周病で、5本の抜歯に初期治療。
そこからしばらくは定期検診を続けておりました。
途中、顎骨骨折で顎間固定をしていたため歯磨きができず、1週間に1度のペースで
メインテナンスを行なったこともあります。
でも、状態が安定してきてからは月に1度になりました。
ところが10年が経過した頃。
右上6番の排膿が止まらなくなってしまいました。
ご本人は様子見を希望されましたが、排膿が原因で歯や歯ぐきの状態が悪化するのが心配で……。
当時一緒に組んでいたドクターと相談し、結局抜歯をすることになりました。
すると、上顎洞まで骨がなくなっていることがわかり、3ヶ月間にわたって上顎洞を防ぐ治療を行なったのです。
あのとき、「歯を残したい」という患者さんの気持ちに寄り添うという選択をすることもできたはず。
でも私たちは、まずはレントゲンで骨を診るという判断を取らせていただいたのです。
もしも患者さんの声を聞くだけで終えていたら、あとあともっと大変なことになっていたかもしれない……。
将来、口腔内の健康を維持していくためにどういった判断が必要なのか、
それは歯科医療者側がきちんと把握し、説明できなければいけないのだと
改めて実感しています。
その後も根面カリエスを診させていただき、根分岐部や遠心の根面を注意深く診る大切さを知りました。
サージテルを使うようになって歯石の取り残しを発見し、初期治療をやり直しさせていただいたこともあります。
本当に、いろんな意味で学ばせてくださった患者さんです。
しかし、なぜこんなに大変な思いをしても私のもとへ来てくれるのか……。
きっと不思議に思われた方もいますよね。
それにつきましては、次回お話をしたいと思います。