仕事中に、初めてのうれし泣き

小川由香里

仕事中に悔しくて泣いたことは、数知れず。

でも、うれし泣きをしたのは初めてでした。

 

このあいだ、ある女性の患者さんが1年9ヶ月ぶりにいらしたんです。

クリーニングを受けていただいている間、「気持ちよくて寝ちゃいそうよ」と言いながら涙を流されていて……。

その姿を見て、私の涙腺が壊れました。

 

こちらの患者さんは、1年9ヶ月前に白血病の診断を受けています。

大変な治療を受けられ、無事に完治されて久しぶりのメインテナンスに。

旦那さまも3ヶ月に1回はいらしていたので奥様の容体など詳しくうかがっており、

「妻があなたのクリーニングを受けたがっているよ」

というお話も聞いておりました。

もう、受付でお見かけした途端、涙腺が……。

「またお会いできてよかったです」と言うのが精いっぱいでした。

 

さっそく治療の経過や現在の体調をおうかがいし、口腔内を診査してみるとビックリ!

本当にきれいにセルフケアされていて驚きました。

口内炎ができたり吐き気がひどくて、歯磨きもままならないときがあると聞いていたのに……。

 

白血病の治療をする際は口腔内に炎症があると免疫系の治療が行なえないので、

大抵の場合歯科治療が必須になります。

「でも私の場合ね、先生の丁寧な治療と小川さんのクリーニングを受けていたおかげで

白血病の治療に専念できたの。本当に感謝しています」

そんなことを言われたら、壊れた涙腺はもはやどうにもならない(TT)

私こそ、本当に感謝です。

 

日々時間に追われながらメインテナンスをしていると、

「患者さんのどんなお役に立てているのか」ということになかなか気づくことができません。

1人ひとりの患者さんに一生懸命向き合っていこうと改めて決意した出来事でした。