しっかり摂ろう!タンパク質〜卵編

良質なタンパク源となる代表的な食材の一つに、卵があります。
卵は、ゆで卵や目玉焼き、温泉卵やポーチドエック、だし巻き卵やオムレツなどの卵の食材単体を楽しむ食べ方から、かに玉、天津丼、親子丼、キッシュ、茶碗蒸しなど他の食材と合わせた美味しい料理もたくさんあります。炊きたてのご飯やすき焼きに生卵の組み合わせで食べることもありますね。
メニューが豊富な卵は、意識すれば食べる機会を増やしやすい食材になると思います。
また、食卓に並ぶ料理以外でも、筋肉のトレーニングをする方や舞台に出る俳優さんなどがゆで卵をタンパク質の捕食としてたくさん食べていたりするのを耳にしたこともあるかもしれません。

今回は、タンパク源としても優れた身近な食材「卵」についてまとめました。

なぜ、卵がいいのか

タンパク質の捕食として利用しやすい

一日に摂りたいタンパク質の量の目安は、体重1kgあたり1~1.5gです。
(腎臓疾患などでタンパク質量の制限がある場合を除きます)
この目安量を、肉や魚がメインの料理だけで毎日摂ろうとするのは、なかなか大変です。

例えば、一日50gを目標にタンパク質の多く含まれるお肉、お魚を食べるとします。和牛の赤身肉200gだと40g程度のタンパク質が含まれますが、焼くなどの調理によってその量は少し損失します。調理の必要のないマグロの(赤身)お刺身でも100g(約6切れ)で26g程度のタンパク質です。
お昼にステーキ、夜はお刺身の食事を食べれば目標量のタンパク質を摂れますが、毎日続ける食習慣としては、ちょっと現実的ではないかもしれません。
朝はコーヒーにトースト、昼はサラダ付きのパスタランチ、夜はお肉かお魚をメインにして食べているというような食事では、一日のタンパク質の目安量には届かないのです。

そこで、タンパク質を手軽に摂れる卵を利用します。
卵料理を組み合わせたり、ゆで卵などをおやつがわりの捕食として食べれば、1日に摂りたいタンパク質の量に近づけていくことができます。
例えば、鮭の塩焼き(1切れ)に卵焼き(1個分)を足せば、
タンパク質の量は 18~20g + 7g = 25~27g 1食で30g弱が摂れることになります。
ちなみに、ゆで卵1つには6~7gくらい、茶碗蒸し1個(鶏肉、かまぼこが具材に含まれているものの場合)には10gくらいのタンパク質が含まれています。

卵の良いところ

卵はアミノ酸バランスの良いタンパク源

タンパク質~お肉編・~お魚編でも書いたように食品に含まれるタンパク源は、アミノ酸のバランスが大切です。お肉、お魚と同様に、卵も食品のタンパク質の質を評価したアミノ酸スコアが100の良いタンパク源です。

卵は他の栄養素(ビタミン、ミネラル)も一緒に摂れる

卵はタンパク質以外にもビタミンやミネラルを含んでいる食品です。

脂溶性のビタミンA、D、E、Kも含まれるのと一緒に、脂質であるレシチンも含まれているので、脂溶性ビタミンの吸収もよくしてくれます。
水溶性のビタミンB群(8種)も含んでいます。B群の中では、皮膚や粘膜の健康に関与しているビオチンが多く含まれています。

カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルも含まれています。また、水銀やカドミウムなどの有害ミネラルの排出に関与しているセレンも多く含まれています。

卵は調理しやすく食べやすい

ゆで卵、目玉焼き、スクランブルエッグなど、卵単体の簡単な調理で食べれる便利な食品です。もちろんオムレツやだし巻き卵、茶碗蒸しなど、もう一手間加えれば美味しく量も食べやすくなります。
だし巻き卵、かきたま汁、卵とじなど和風のものから、野菜などを加えたキッシュやスペイン風オムレツなどの洋食、蟹玉や天津丼、トマトの卵炒めなどの中華料理など、いろいろなジャンルでも楽しめます。

卵の食べ方で工夫できること

栄養素の吸収・消化のための工夫

卵は、調理方法によって含まれる栄養素の量や消化にかかる時間に違いが出ます。

加熱調理によって、若干ですが含まれている水溶性ビタミンBは減ります。また、白身に含まれるリゾチーム(酵素)も熱には弱い性質があります。生卵のままの方が、それらの栄養素は減らせずに摂れるでしょう。
ただし、生のままだと吸収しにくい栄養素もあります。皮膚や粘膜、毛髪などの健康によいとされるビオチンは、生の卵白に含まれるアビジンという成分が吸収を阻害すると言われています。
また、生食での菌が気になる方は、しっかり火を通して安全に食べた方が良いでしょう。

タンパク質は加熱すると変性する性質があります。この変化により胃での消化の時間も変わります。例えば、半熟卵の消化にかかる時間が1時間半くらいに対して、完熟卵(固茹で卵)では3~4時間かかると言われています。

消化のことを考えての食べ方の工夫としては
・胃やお腹に負担をかけたくない時は、栄養素の吸収が良くなる半熟卵にして食べる
・ダイエット時などは、食べ応えがあってお腹の持ちが良くなる完熟卵(固茹で卵)にして食べる
こんな食べ方の工夫もできます。

アレルギーに対しての工夫

アレルギーを起こしやすい3大食材として、小麦・乳製品・卵が知られています。

腸が未発達の子供や、大人の場合でも腸の状態の悪い人(リーキーガット症候群)は、過敏に反応してしまう可能性があります。
また、毎日食べているものや好物などの食品が原因になって、遅延型アレルギーが起きることがあります。このアレルギーは、本人も気がつかないうちに起きていて、疲労感や頭痛、下痢や便秘などなんとなく不調だなと感じるような症状が出ます。

これらのアレルギー症状が卵で必ず起きる訳ではありませんが、可能性を回避する工夫をするのも安心ではないでしょうか。
例えば、卵を毎日食べるならば、平日は食べて週末は食べないなど、同じ食材を連続して摂らない日をつくる食べ方の工夫です。

まとめ

過去の誤った情報に「卵は1日1個まで」というものがありました。長く信じられたこの情報により、卵を控える高齢者の方などがいらっしゃるようです。卵によりコレステロールが上がり動脈硬化を招くという心配をされる方は未だ多いようです。

卵は、安価で手に入りやすくメニューも豊富で食べやすい食材です。
良質なタンパク源であり、脳の健康維持によいレシチンや抗菌作用を持つリゾチームなども含まれる栄養価の高い食品です。
ぜひ、日常の食事や捕食に取り入れてみてください。美味しく食べて元気なからだをつくることにつながればと思います。