「亜鉛」を含む食材と不足させない摂り方のコツ

亜鉛は、私たちのからだをつくる細胞を活性化させる重要なミネラルです。

細胞分裂や新陳代謝に必要なので、皮膚や髪の毛、味覚、性機能、免疫の維持など、全身の健康を守ることに関わっています。そのため、不足するとからだの不調につながります。
亜鉛は食べ貯めができないので毎日摂りたい栄養素ですが、不足しやすいミネラルでもあります。
今回は、亜鉛を食事から摂る情報として、食材や摂り方についてまとめました。

亜鉛を摂るには何を食べる?

亜鉛が含まれる食品として浮かびやすいのは牡蠣でしょうか。好き嫌い、流通されている時期などを考えなければ、確かに亜鉛が豊富に含まれる食べやすい食材です。但し、毎日カキフライや生牡蠣を食べるというのは現実的ではないようにも思います。メニューを変えながら亜鉛を摂れるように意識してみてください。

亜鉛を多く含む食材

亜鉛は動物性食品に多く含まれます。肉、魚を避ける典型的な菜食主義の方は不足しやすいといわれています。
代表的な食材としては
・魚介類
牡蠣、蒸したカニ、うなぎ、ニシンなど
・肉類
牛肉、鶏肉、豚肉、レバーなど
・植物性食品
大豆、キノコ類、アーモンドなど

 食材に含まれる亜鉛の量

魚介類
食材例 食材重量 亜鉛含有量
カキフライ 1個 29.1g 2,7mg
生牡蠣(むき身) 1個 20g 2,64mg
ズワイガニ 1杯(可食部)90g 2,34mg
うなぎ 1尾(可食部)220g 3,15mg
ニシン 1尾(可食部)165g 1,82mg
肉類
食材例 食材重量 亜鉛含有量
牛肉(赤身) 100g 2,7mg
牛肉(肩ロース) 100g 5,7mg
豚肉(ヒレ) 100g 2,1mg
豚肉(肩ロース) 100g 2,7mg
鶏肉(レバー) 100g 3,3mg
植物性食品
食材例 食材重量 亜鉛含有量
納豆(ひきわり) 1パック 50g 0.65mg
豆腐(木綿) 1/2丁 150g 0.9mg
大豆(ゆで) 1缶 140g 1,54mg
えのき 1袋 85g 0.51mg
マイタケ 1パック 90g 0,72mg
ごま 大さじ1 9g 0,5mg
アーモンド 10粒 10g 0,4mg
スルメ 1枚 80g 4,32mg

亜鉛が含まれる食べ物は動物性食品の方が豊富です。食事からの亜鉛の総摂取量の2/3は、動物性タンパク質源の食品からといわれ、菜食中心の食事では欠乏しやすくなります。

積極的に亜鉛を摂るならば、動物性食品に対して亜鉛の含まれる量は少なくても、植物性の食材の納豆やのり、キノコ類などを毎日のおかずに加えたり、ナッツやビーフジャーキー、スルメなどおやつ代わりに食べれる食材などを上手に利用して食べる回数や食べる量の工夫をしてはいかがでしょうか。

亜鉛の必要量は?

厚生労働省の定める食事摂取基準(2015版)によると亜鉛の1日の推奨量は、
成人で8~10mgです。
亜鉛は、赤ちゃんから高齢者まで年齢や男女を問わず必要としている栄養素です。
乳児でも2~3mg、70歳以上7~9mgが推奨量とされています。

亜鉛不足は、各年代でのトラブルにつながっています。

赤ちゃんは、急速な成長をしている時期です。
新陳代謝が活発な赤ちゃんには亜鉛は大切な栄養素です。偏食やダイエットなどの影響で亜鉛不足になっている母親の母乳には亜鉛不足の問題があり、乳児の皮膚炎などの原因につながっている報告があります。

若い世代では、味覚障害が増えているという話もあります。
偏食や加工食品の利用が増え、コンビニやファストフードばかりを利用することが亜鉛の不足につながっているようです。

高齢者の多くは、亜鉛不足の傾向があります。
食事量が減っていたり、内服する薬の数が増えていたり、消化吸収力が低下していることなどが影響するようです。

亜鉛を食べるときのコツ

せっかく亜鉛を含む食事をするなら、しっかりからだに吸収させたいですよね。

亜鉛の小腸での吸収率は30%程度といわれています。残念ながら、食べた量すべてがそのままの量で吸収されるわけではないのです。

消化吸収をよくするためのポイント

  • よく噛んで食べる

噛む刺激で胃酸を増やし、亜鉛を吸収しやすくさせます。
また、食塊を細かくすることは消化の負担を減らすことにもつながります。

  • 吸収をよくする食材を一緒に食べる

亜鉛は、一緒に摂ると吸収がよくなる食材があります。
ビタミンC、クエン酸、リンゴ酸などの酸性を示す食材です。
例えば、生牡蠣やカキフライにレモンを絞る、酸味のあるドレッシングやソースなどの味付けで食べるなどの工夫が良いでしょう。

  • 吸収を妨げる食材を一緒に食べない

亜鉛は、一緒に摂ると吸収を妨げる食材があります。
お茶やコーヒーのタンニン、ポリフェノール、加工食品に多いポリリン酸、玄米などに多いフィチン酸、食物繊維などがあります。これらを多く含む食品は、亜鉛の吸収を考えた時は、一緒に食べるのは避け、タイミングをずらした方が良いでしょう。例えば、コーヒーをよく飲む人は、食事の1時間前、食後2時間後くらいの時間をあけた方が亜鉛の吸収の妨げにはならないといわれています。

過剰な摂りすぎに気をつける

通常の食生活では過剰症の心配はありませんが、亜鉛には毒性もあります。一度に2g以上を摂ると急性亜鉛中毒を起こす可能性があります。症状としては、吐き気やめまい、胃の不快感などが起こります。

まとめ

普段のお食事に照らし合わせてみて如何でしょう。亜鉛を含む食材を食べていましたか?
数日の亜鉛不足だけで、味を感じにくくなったとか抜け毛が増えたなどの亜鉛不足の症状がすぐに出てくるわけではないでしょう。ですが、亜鉛の不足が続けば、なんだか調子が良くないなというように徐々にサインを出し始めるはずです。

私たちのからだは食べたものでできています。
今回の情報が、食事から亜鉛を摂るヒントになれば嬉しいです。