歯の喪失原因の大半を占める二大口腔疾患「むし歯」「歯周病」それらを予防するには、サリバコントロール・シュガーコントロール・プラークコントロール・パワーコントロール、この4つのコントロールが必要です。今回は、意外と見落としがちな唾液のこと、「サリバコントロール」についてお話します。
サリバコントロールとは?
サリバコントロールとは、大きく分けて2つ「モイストコントロール」と「pHコントロール」になります。唾液検査を導入されている歯科医院だけでなく、唾液について正しい知識を持って見る目を養うこと、チェアサイドでしっかりインタビューすることで対応できることはたくさんあります。
予防歯科が定着し、唾液検査を導入している歯科医院も増えてきました。唾液検査には、唾液量はもちろん、むし歯や歯周病に関連する細菌数、細菌の酸産生能や唾液緩衝能、最近では白血球やタンパク質の量から歯肉の炎症を判定するものもあります。検査結果を踏まえ、患者さんに具体的にどのような提案をされていますか?
「キシリトールガムをかみましょう」「フッ化物を使用しましょう」など、どんな患者さんに対しても、ついワンパターンになってしまうという声をよく耳にします。結果に対応することも大切ですが、まずは原因に目を向けて、身体の持っている力を最大限有効にできるように提案することが重要です。
唾液についての誤解
・1日の唾液分泌量は1.5ℓ
・唾液量は加齢とともにが減るから仕方ない
・ドライマウスといえばシェーグレン症候群
・唾液を増やすには唾液腺マッサージ
唾液について調べると必ずと言っていいほど出てくる、この常識のような話。本当にそうでしょうか?
唾液分泌量は体内水分量や姿勢、季節や時間帯によっても変化します。唾液量が減少するのはシェーグレン症候群などの病気だけでなく、自律神経や薬の副作用、口呼吸や筋力の低下なども大きく影響します。まずは唾液について正しい知識を持ちましょう。
口腔乾燥と唾液腺機能低下
昨今では、日本人の4人に1人がドライマウス潜在患者と言われているのをご存じですか?
ドライマウスは口腔乾燥症ともいいますが、まずは、唾液が出ているのに蒸発して乾燥している口腔乾燥なのか、そもそも唾液が出ていない、または出にくい唾液腺機能低下なのか、唾液検査をしていてもいなくても、その兆候を見る目を持つことが必要です。唾液検査時に唾液量が充分に分泌されているからといって安心はできません。
モイストコントロール
唾液分泌量を増やす方法として代表されるのが唾液腺マッサージです。その刺激により一時的には出るかもしれませんが、できれば日常的に増やしたいですよね。
まずは、体内水分量を増やすことが必須です。その際、大前提として砂糖が含まれていない飲み物を摂っていただきますが、緑茶やコーヒーなどに含まれるカフェインは交感神経を刺激してしまうので、水分補給の種類についても詳細に提案する必要があります。
その他、食事の内容や食べ方、ガムの噛み方、いつでもできるトレーニング方法など、唾液腺マッサージ以外に提案できることはたくさんあります。
pHコントロール
pHといえばステファンカーブ。そのカーブには個体差があるのをご存じですか?
飲食習慣や唾液分泌量によってもカーブは変化しますので、プラークのpH、唾液のpH、唾液緩衝能、それぞれを理解しアプローチする必要があります。
飲食習慣に関しては、なんといってもシュガーコントロール。複数回の発酵性糖質(果糖やショ糖)摂取は、唾液のpHや唾液緩衝能にまで影響します。
シュガーコントロール編はこちらをご覧ください♪「4つのコントロール「シュガーコントロール編」
その他、食べ物の種類・食後のチーズ・噛める食事の提案や、飲み物で流し込まない、食べ方の提案など、pHコントロールは飲食習慣指導と密接な関係があると言われています。
まとめ
まだまだ耳馴染みのない「サリバコントロール」。唾液検査を導入していてもいなくても、唾液について正しい知識を持つことで、チェアサイドで提案できることが格段に増えることがおわかりいただけたのではないでしょうか。「ドライマウスには唾液腺マッサージ」だけではない、サリバコントロールを明日からの臨床に活かしましょう!
4つのコントロール「サリバコントロール編」勉強会は2019年2月24日(日)開催です。