知識

PMTCの基本知識とその手順

PMTCの基本知識

PMTCとは専門家による機械的な歯面清掃のことをいいます。
PMTCはスウェーデンイエテボリ王立イエテボリ大学歯学部予防歯科主任教授であったペールアクセルソン博士によって提唱され、現在は歯科衛生士のブリギッタニーストレン女史により日本に受け継がれています。
歯科衛生士の技術の一つとしてPMTCは正しい知識と技術を身につけておきたいもの。
今回は、PMTCの知識と使用する材料、メインテナンスでの手順についてまとめていきます。
ぜひ参考にしてスキルアップを目指してください。

PMTCとは

PMTCとはProfessional Mechanical Tooth Cleaningの略で、歯科医師や歯科衛生士が機械を使った歯面の清掃のことをいいます。メカニカルという「機械」を使ったクリーニングをすることをPMTCといっています。
機械を使わないで行うPTCという言葉もあります。こちらは専門家による歯面清掃をいいます。
例えば、歯ブラシやフロスを用いて清掃をすることをPTCといっています。

PMTCの定義

PMTCの定義は、歯科医療従事者、主に、歯科医師、歯科衛生士が行う歯科予防処置であり、
全歯面から選択的にplaqueを除去することと定義づけられています。
全ての歯面を清掃するのではなく、プラークのついている部分のみを清掃していくことと定義づけています。

PMTCの目的

PMTCの目的は、患者さんの口腔内が良い状態を保つための現状維持、または、再発の防止を目的としています。
また、リスク部位のバイオフィルムの除去、歯肉縁上および、歯肉縁下の1~2mmのプラークを除去することを目的としています。
リスク部位とは
リスク部位とは、患者さんが磨きにくい部位やカリエスリスクが高い部位、ペリオのリスクが高い部位などをいいます。
私たち歯科衛生士は、患者さんのリスク部位をケアしていきます。また磨きくい部位を磨けるようにアドバイスも行っていきます。

PMTCと歯面研磨の違い

PMTCと歯面研磨では、目的と効果が大きく違います。
PMTCの目的は、リスク部位のバイオフィルムの除去を行うことでそれにより、う蝕や歯周病の予防効果が期待されます。

一方で歯面研磨の目的は、ステインの除去や歯面の滑沢化、着色などがついたものを除去する、または、SRP後の歯面の粗造な部分を滑沢化することが目的になります。

それによって、審美的な回復の効果が得られると言われています。
このように、PMTCと歯面研磨には大きな違いがあることがわかります。

PMTCと研磨の違い

メインテナンスにおけるPMTCでは、私たち歯科衛生士がプロフェッショナルケアを行い、患者さんがセルフケアを行い、これらが両立することでう蝕や歯周病の予防ができると言われています。

患者さん自身が磨きにくい部位をしっかりサポートをし、磨けるようになるためのブラッシング指導を行う。
この二つが両立し、さらに、セルフケアのでできる割合を増やしていくことが、予防につながると考えられています。

定期的なメインテナンスでは来院時にPMTCを行うことによって、良い状態を保ち、う蝕や歯周病の予防を行っていきます。
メインテナンスに来院すれば予防ができるのではなく、両立していくことが大切であることをしっかりと認識しましょう。

PMTCで使用する機材

PMTCで主に使用する機材について説明を行います。

コントラアングルハンドピース(PMTCラバーカップやブラシ用)

PMTC用のラバーカップやブラシを装着して使用するハンドピースで、回転運動をおこないます。
主に、歯面のの汚れを除去するために使用します。

コントラアングルハンドピース

コントラングルハンドピース(PMTC EVAチップ用)

往復運動を行い、主に、歯間部の汚れを除去するために使用します。

清掃用ラバーカップ・チップ・ブラシ

コントラアングルハンドピースに装着して使用する清掃用の機材です。
カップは、歯面の大きさに合わせて、大きなタイプや、叢生部位や下顎前歯の歯面などに使用する小さなカップ、歯と歯の間に使用するラバーチップや、咬合面に使用するポリッシングブラシなどがあります。

ラバーカップ

ラバーカップにも形状や硬さなど様々な種類があり、中の形状が6スクリュー、4スクリューなど硬さや研磨力も変わってきますので、患者さんのリスクに合わせてカップを選択していきます。

ブラシのサイズや形状もさまざまなものがあり、お口の状況に応じて機材を選択して使用していきます。

ポリッシングブラシ

補足

ラバーカップやブラシは、患者さんひとりひとりにディスポーザブルで使用することが推奨されています。ゴム製品では滅菌をしても、中に細菌が入り込むことが言われているため、ディスポーザブルで使用するのがスタンダードになっています。

清掃用のペースト

口腔内の状態やリスクに合わせてペーストを選んでいきます。
ペーストにも、研磨力の違いや、フッ化物配合のもの、カルシウムやリンが配合されているものなどさまざまなペーストがあります。
カリエスリスクの高い患者さんには、フッ化物の配合されているペーストを選択し、ペリオリスクの高い患者さんには、歯周病細菌に効果があると言われる薬用成分が配合されたペーストを選び、個々の患者さんに合わせることが理想的です。

PMTCペースト

仕上げ磨き用のペースト

研磨剤が無配合のものや、低研磨のペーストなどを用いて、全体の歯面を仕上げていくペーストがあります。
こちらは、ハイドロキシアパタイトが配合されているものや、フッ化物が配合されているものどさまざまなペーストがあります。

仕上げ磨きペースト

PMTCの手順

メインテナンスでPMTCを行う場合は、PMTCを単体で行うことはなく、メインテナンスのメニューの中にPMTCが含まれていると考えてください。
今回は、メインテナンスの手順にそって、PMTCの際に使用する機材や手順について説明をしていきます。

手順1:染め出し

使用機材:染め出し液

染色剤

まず、最初にリスク部位を把握するために、染め出しを行っていきます。
染め出し液にも、古いプラークと新しいプラークがいろが分かれて染め出されるなどさまざまな染色剤があります。

手順2:TBI

使用機材:歯ブラシなど

ブラッシング指導

染色された部位のブラッシング指導を行うために使用していきます。
また、リスク部位で機材が届きにく部位にもPTCとして使用する際に用いることもあります。

手順3:デブライドメンド

使用機材:エアスケーラー、ソニックブラシ、超音波スケーラー

ディブライドメント

PMTCでは縁上・縁下のプラーク除去をおこないます。
患者さん自身が磨けない部分が多い場合や、縁下にプラークがたくさんついている場合は、このような機械を使用していく場合もあります。

手順4:PMTC

使用機材:PMTCコントラ、カップ、ブラシなど

リスク部位に合わせて、機材を選択し、PMTCを行っていきます。
リスクのない部位へのアプローチとリスク部位へのアプローチは変えて施術をおこなっていきます。

手順5:仕上げ磨き

リスクのある部位には研磨剤を用いてPMTCを行うため、その後は歯面を整えるために仕上げ磨きを行います。
この際は、研磨剤の配合されているペーストは使用せず、艶出し効果の期待できるペーストを選択します。

また、リスクのない部位へのアプローチも仕上げ磨き用のペーストで艶出しを行っていくことで、より良い状態を維持することができますし、もっと綺麗な状態になることも期待できます。

手順6:フッ化物塗布

使用機材:フッ化物溶液(ジェル)など

フッ化物

メインテナンスの最後にフッ化物を塗布します。ジェルタイプやフォームタイプなどリスクに合わせてフッ化物を選びます。
また、リン酸酸性のものや中性ものなどさまざまなフッ化物があります。
補綴物の状態や患者さんの状態によってはフッ化物を塗布しない場合もあります。
フッ化物塗布の場合は、フッ化物を計量し、歯面を乾燥させ、専用のブラシや綿球で塗布していきます。

その後、5分間放置し、口腔内にフッ化物が少し残る程に軽くうがいをしてもらい完了です。

まとめ

PMTCとは、歯科医療従事者が行う歯科予防処置のことをいい、全歯面から選択的にプラークを除去すると定義づけられています。
PMTCではバイオフィルムを除去することが目的であり、歯面研磨とはことなり、う蝕・歯周病の予防効果があるといわれています。
メインテナンスでPMTCを行う場合は、PMTCを単体で行うことはなく、メインテナンスのメニューの中にPMTCが含まれていますので、メインテナンスの手順に沿って使用する機材を選択、準備して快適な施術を心がけましょう。

塚本 千草

塚本 千草

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歯科衛生士のためのプラットフォーム「dhroom」設立者。
一般社団法人DHマネジメント協会 の代表として、「人材育成ができる歯科衛生士が歯科業界を変える」を理念に、歯科衛生士の仕事が好きで働き続けたい思いを実現するために日々活動中

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