せっかく採用したのに、すぐに辞めてしまう。「前の医院ではこうでした」と主張されてしまい困っている。「仕事以外の時間は仕事の勉強とかしたくないです」と言われてしまう。そんな採用をもう何人も繰り返していて、そろそろ脱却したい!と悩んでいる医院も多いのではないでしょうか。では、新入社員が入社してきました。 さて、一番最初にすることはなんでしょうか? と、その前に大切なことがあります。 入社してからではなく、入社前に明確にしておきたいことをきちんと整理しておくことが大切です。それは、入社前の面接時に確認しておきたいことを明確にしておくことです。
この記事でわかること
採用前に医院のルールを理解してもらう
入社してからではなく、入社前に明確にしておきたいことをきちんと整理しておくことが大切です。それは、入社前の面接時に確認しておきたいことです。 どんなことかというと、具体的には、月に1度は勉強会があることや急患の来院でお昼休憩の時間が短くなることがあること、患者さんのために診療時間終了後にカンファレンスをすることがあることなどです。
その他、医院よっては、就業開始前にある医院のルールがあったりします。それらを明確にして、理解を得られるかを確認する。これが大前提です。 また、研修で合格しないと患者を担当することができないなど、医院特有の決まりごとがある場合は、明確にしておくことが大切です。患者さんを第一に考え、診療後にカンファレンスをすることもあること。あくまでも患者さんを考えての行動ができる医療人なのか?医院の考え方を理解してくれる人材なのかを確認しておくことが大切です。
医院のルールを決めておく
入社した新入社員。長く働いて欲しいからこそ医院特有のルールは事前に説明しておきます。医院特有のルールの中には矛盾しているようなこともあるかもしれません。 しかし、それを言わずに内定になったとしてもそれは、どちらも幸せではないです。ルールや規則をきちんと説明し、医院特有のルールは理解してもらえますか?
と、質問して相手の答えを聞きます。その答えに応じて内定なのかどうか決定したほうが、将来的に人材育成がスムーズになると思いませんか?
医院のルールや決まりごとを明確に提示していますか?
長期的な視点で人材採用を考える
人出不足だからそんなこと言ってられないよ。そう思うかもしれません。とりあえず入ってもらわないと。そう思うかもしれません。面接に来た人はとにかく採用。そうしたいかもしれません。ただ、長期的な視点で考えるとその場しのぎの人材採用は誰のためにもなりません。入社した人材の研修を行うのは歯科衛生士です。どういう人を採用するか? 院長としっかりと話し合えることも大切です。
働くことについての考え方の違い
若い世代とかベテランとかあまり年齢や経験に捉われず、ある一定数の人は、「仕事」は生活のためにお金を稼ぐこととしている人がいます。 もちろん、生活のためにお金を稼ぐことは正しいことです。生活をするためにお金を稼ぐ。その方法は歯科衛生士という仕事以外にもたくさんあります。それはそれでいいんです。
しかし、働きながら、この仕事のやりがいをどう感じるようになったか?ここが大切だと考えています。なので、なんで歯科衛生士になったか?ということが大事なのではないので、この質問はしません。
歯科衛生士の仕事をしていてやりがいを感じたことは何か?これを聞くことが大事です。
あ~なんだかんだ言っても歯科衛生士になってよかったなぁ。そう思うことってありませんか?まずは、指導者のあなた自身が「歯科衛生士」のやりがいについて考えて見てください。
誰でも最初からやりがいは感じられない
少し振り返ってほしいのですが、あなたが歯科衛生士になったばかりの頃、仕事を最優先に考えていたでしょうか?
ある人は、仕事の後にスポーツジムに行くことしか考えていなかった。
ある人は、仕事の後にクラブへ行くことしか考えていなかった。
またある人は、仕事の後のアルバイトに行くことしか考えていなかった。
またある人は、仕事の後に自分の時間を作ることしか考えていなかった。
もちろん仕事を最優先に考えていた人もいるでしょう。
多くの場合は、仕事への「やりがい」をすぐに見出せる人はおらず、仕事を通して様々な経験を積み重ねることで自分の仕事へ「やりがい」を感じるようになります。その「やりがい」を感じることができる職場で長く働きたい。それを実感できる職場でやりがいをさらに感じたいと思い、そのために、もっと成長したいという「気持ち」が成熟していきます。
「やりがい」を感じたことはありません。」 そんなメンバーが入社してきたらどうしたらよいでしょう?
仕事のやりがいは社会と本人の関係の中で生まれる
「仕事のやりがい」は、社会と本人の関係の中で 生まれると何かの書籍で読みました。自分の仕事の成果が医院でどう生かされたか?そして、どんな「評価」を得られるのか。それによって自分は「何を得られ」て、自分の「将来」にどのようにつながるのか。このプロセスにおいて自分なりに満足感を得られている状態が、「やりがいがある」ということです。
つまり、やりがいの軸となるのは、社会と本人との関係上にある「評価」「報酬」「将来」この3つなのだそうです。「やりがいを感じたことがない」その場合は、3つのバランスが崩れているとも考えられます。
「やりがい」のために何から始めればいい?
無理にやりがいを感じたり見出すことはしなくてもいいです。こう考えてください。「やりがい」を感じたことがない。そういう場合には、「評価」「報酬」「将来」の中でも「評価」をきちんとすることから始めてみてください。ここでいう評価は、できていることを褒めることです。職場で存在意義があることを認めること、そして相手がそう感じることが最初の一歩です。まずは、相手の自己重要感を満たすこと、言葉にして表現することからはじめてみてください。
報酬のバランスが崩れると出てくる不満
やりがいを感じることなく、給料や休みなどに対する不満がでるのは、自分はこれだけ価値を提供しているのに、満足のいく報酬が返ってこないと感じていることが多いです。 「評価」「報酬」「将来」のバランスが崩れると、不満や不安がでやすいです。「やりがい」を見出せない「やりがい」を感じていない。そういう場合、その人の仕事の内容をみてほしいのですが、責任の伴う仕事を任せているでしょうか?患者さんをみるというのはもちろん責任の伴う仕事です。それ以外に特に何も任せていない場合は、何も考えないでできる仕事や責任の伴わない仕事だけをやっていると、実はそれが「やりがい」を見出せないことの原因になっている場合もあります。
患者さんの担当以外に、任された仕事が医院全体の大きな仕事であれば責任を持ってやろうという気持ちが芽生えてきます。
例えば、新人教育を任せている。インプラント管理を全て任せている。など。そういう仕事であれば責任を持って、自分で考え行動します。もしかしたら、先輩であるあなたが「やりがい」を感じる仕事を与えていないこともあるかもしれません。そつなく仕事をこなすタイプのスタッフにも「責任」のある仕事を任せているか?今一度見直しをしてみてはいかがでしょうか。
当事者意識を持って仕事をする
「やりがいがない」その言葉の中には、「仕事がつまらない」「人間関係がうまくいかない」「頑張っても給料が上がらない」などのいろんな思いが隠されています。「職場が遠くて通勤が大変」「残業が多い」「休みもなかなか取れない」職場環境面の不満もよくある相談です。それらを総して、「やりがいがない」と話す方も多いです。
これは、雇う側にも雇われる側にも要因があります。雇う側は 「評価」「報酬」「将来」を明確にできる職場であること。雇われる側は当事者意識を持って仕事に取り組むことです。 論理的に言えば、おおよそこれらのことが整備されていれば、矛盾した主張や愚痴はでにくい職場になります。
人材育成のカリキュラムを作成する
長く一緒に働ける人材を育てるためには、研修項目が明確になっていることが大切です。「前の医院では違いました」「私はこのやり方でやってきました」と、過去のやり方を主張される歯科衛生士も多いと聞きます。これは、その人の人間性、つまり、柔軟性があるかどうか?ということに行き着くのですが、その前に、「できない人に思われたくない」という気持ちもあるのかもしれません。
採用前に医院のルールを伝えることで 柔軟な考えで、医院の取り組みを素直に受け入れる心構えができます。やりがいを感じることができる医療人としての心を育てれば、自主的に学ぶようになります。そのためにも「評価」「報酬」「将来」を明確にできる職場になるために研修制度を整えることです。あなたの医院では人材採用後に育てる環境が整っていますか?雇った側にとっても雇われた側にとっても違いが気持ちよく働ける環境を整えることを真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
長く働き続ける人材を育成するためには、採用前に確認する項目を明確にしておくことからです。また、入社してから「やりがい」を感じることができる環境が整っていれば、長く働き続けたいと思う気持ちも成熟し、長期的な視点を持って患者さんと関わってくれるスタッフで働きやすい環境になると考えています。そのためにも、「評価」「報酬」「将来」を明確にできる職場作りを始めてみてはいかがでしょうか。
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