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CDCもWHOも推奨!擦式消毒法とは?

手指衛生は感染管理において基本的で効果的であることは歯科衛生士の皆さんはもちろんご存知ですよね。「グローブをしているから手指衛生は大丈夫」という間違った概念の方も少なくなってきたと思います。グローブの着脱の前後は必ず手指衛生が必要です。最近は液体石鹸と流水で手指を洗浄するよりも擦り込み式での手指消毒の方をすることが診療中は多いです。患者さんと患者さんの合間は忙しいのでこの擦り込み式の手指消毒はとても便利です。

擦式消毒法とは

擦式消毒法とは消毒剤に消毒用エタノールを配合した薬剤を用いて、速乾性擦り込み式手指消毒をする方法。適量(約3ml,およそ1プッシュ)を手にとり、消毒剤が乾くまで十分に擦り込む。エタノール蒸発後に残存する消毒剤の有効成分の効果が期待できる。そのため、消毒剤の選択にあたっては、有効成分の残存効果も併せて考える必要がある。注意しないといけないことはこの方法は手指に明らかな汚れがある場合は先に液体石鹸と流水で洗浄をしないといけないことです。

非抗菌石鹸や抗菌石鹸より効果的

CDCとは「米国疾病管理予防センター」のこと、WHOとは「世界保健機関」のことです。

CDCは2002年10月に「医療現場における手指衛生のためのガイドライン」をWHO は、2009年に同じくガイドラインを発表し、それらの中でアルコール手指消毒が医療従事者の標準的な手指消毒と手術時手指消毒において、非抗菌石鹸や抗菌石鹸より効果的であることが示されています。CDCはこれまで推奨されてきた「石鹸と流水による手洗い」から「アルコール擦式手指消毒薬による手指衛生を第一選択とする基本方針に大転換しています。

https://med.saraya.com/gakujutsu/guideline/pdf/h_hygiene_cdc.pdf

2種類の速乾性擦り込み式手指消毒剤

速乾性擦り込み式手指消毒剤には2種類あります。
・皮膚に残存する消毒成分を主成分にエタノールを添加した薬剤
・エタノールを主成分に他に皮膚に残存する消毒剤成分が配合されていない薬剤

手指消毒に使用される消毒剤は残存成分をよく確認することが必要です。残存する消毒剤成分が配合されていないと効果は液体石鹸と流水による手洗いに近い状態になることを覚えておきましょう。

皮膚に残存する消毒成分を主成分にエタノールを添加した薬剤例

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手指消毒に使用される消毒剤は残存成分をよく確認することが必要です。残存する消毒剤成分が配合されていないと効果は液体石鹸と流水による手洗いに近い状態になることを覚えておきましょう。

アルコールが推奨される理由

アルコールによる手指消毒が石鹸と流水による手洗いよりも有利な理由として

・ほとんどの微生物(ウイルスを含む)を除去できる
・短時間(20~30秒)で効果を得ることができる
・臨床現場で利用できる
・皮膚が耐えられる
・特別な設備(上水道、洗面台、石鹸、タオルなど)が必要ない

ことが理由としてあげられています。

液体とジェルタイプの違いは?

擦り込み式手指消毒薬は粘度の低い液状、ジェル状、フォーム状で販売されています。製品形態別の効能にあまりデーターはないとCDCガイドラインでは書かれています。

antiseptic

使用量について

※1)上記の表では「15秒以上擦り込める量」と記載しましたが、色々な文献を読んでいると15秒以内に消毒薬が手指から乾燥してしまうのは使用量が不足し、消毒レベルに至っていないようです。一般的に1回の使用量が3mlと書かれていることが多いですが製品によって「1プッシュが3ml以下」のものもあるようですので、使用前には1プッシュが何ミリ出ているのか、そして15秒以上擦り込むことができる量なのか確認する必要があります。

歯科の臨床での活用について

歯科の臨床での場でこの手指消毒はどのように行うかを実際に検討してみましょう。
私たちは患者さんを拝見する前はグローブを装着しますので、その前に手指消毒が必要です。

①「流水と消毒剤」

②「速乾性擦り込み式手指消毒」

どちらかを選択します。
※ただし、目に見える明らかな汚れがある場合は「液体石鹸と流水での洗浄」を行わないといけません。その後、①か②の選択をします。

clinicaluse

上記のどちらかの手指消毒が完了したらグローブ装着です。

1人の患者さんが終了しましたらグローブを外してまた①か②の手指消毒に戻ります。
もちろん、目に見える汚れがあれば液体石鹸と流水での洗浄に戻ることをお忘れなく!

まとめ

臨床経験の長い方ほど自分が習ってきたことが現在では変更になっていることがあることを知りましょう。ガイドラインの変更により変わってしまっていることがあります。手指衛生に対する考え方も2002年にはCDCガイドラインが基本方針の大転換をしています。石鹸と流水は手に明らかな汚れがある場合は必要ですが、手指消毒には至っていないことを認識する必要があります。

一般社団法人DHマネジメント協会
歯科衛生士 第2種滅菌技士 長谷川雅代

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長谷川雅代

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歯科衛生士/DHマネジメント専属インストラクター
「自ら積極的に清潔を促す行動ができる歯科衛生士仲間を増やしたい」の思いで院内の感染管理の周知のために活動中。
年に数回の講座を担当し、訪問セミナーも行う。
日本医療機器学会 第二種滅菌技士
日本アジア口腔保健支援機構 第一種歯科感染管理者の資格を所持。

歯科衛生士として臨床も続け、感染管理を広める活動の傍ら、スラッシュキャリアとしてウェディングブーケデザイナーとしても活動中。

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