医療現場でよく見かける滅菌バッグ。私たちの臨床の現場でもなくてはならないものですね。
臨床の現場ではあの袋を「清潔さ」をアピールするため?器材の清潔性を確認してもらうため?
『患者さんの目の前で開けなさい』と指示が出ているクリニックもあるようですね。
患者さんの目の前で開ける目的・・・それは何と言っても無菌状態のものは使用直前に開けるのが鉄則なので(無菌性の保持が滅菌バックの役目)
そのために結果として「患者さんの目の前」になるわけでです。
今回は、滅菌バックはなぜ再利用できないのかについてまとめてみました。参考にしてみてください。
経費節約するのは、本当に医院の為?
経費を節約するためにクリニック愛の強い歯科衛生士、そして歯科助手の方々は思うわけです。
「滅菌バッグって、そーっとキレイに開封すれば2回使えない?」
「だってさ、中に入っているものは滅菌されてるわけだし、さらにまた滅菌するわけだし」
という感じで、滅菌バッグを再利用。
無駄をできるだけしないように工夫をしているように思われますが・・・。
滅菌バッグの構造
通常、歯科医院で汎用されている滅菌バッグは片面がフィルム面、片方が紙面(フィルター面)になっていますね。滅菌バックを作ってる会社はどんな事を考えてあの滅菌バックを作っているか知っていますか?「滅菌剤(高圧蒸気滅菌なら蒸気)をバックの中にいかに良く浸透させるか。
そして「細菌は中に入れない遮断性」をいかに保つ
か。よくよく考えると当たり前のようですが『浸透と遮断』の正反対の作用をあの滅菌バックに作用させているんです。すごい技術ですよね。
再利用がNGの理由
滅菌バックを再利用してはいけない理由はこの紙面に仕組まれたフィルターにあります。
滅菌過程を通過するとこのフィルターは変化します。2回目の滅菌過程には滅菌剤の浸透も細菌の遮断も効果を失ってしまいます。
だから滅菌バックは再利用してはいけないんです。
まとめ
歯科衛生士も歯科助手も「してはいけない理由」が明確になれば行わないですよね。禁止事項を作る前に「なぜ禁止なのか」を提示してみましょう。
滅菌バックが再利用禁止の理由は「紙面のフィルター性能の変化が2度目の滅菌過程にそぐわないから」です。
これでみんな納得ですね。
一般社団法人DHマネジメント協会
歯科衛生士 第2種滅菌技士 長谷川雅代
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