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超音波洗浄機の効果的な使い方

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歯科医院ではほとんどの医院が常備してある、超音波洗浄機。超音波洗浄機では中に入れる溶液は何を使用していますか?超音波洗浄機を使用する際に、何に注意するか知っていますか?今回は超音波洗浄機についてお話していきます。

超音波洗浄機の中に入れる溶液

超音波を用いた洗浄の原理は洗浄液中に超音波を放射して発生するキャビテーション作用によって洗浄物に付着している汚染物を取り除きます。超音波洗浄に『消毒液』を入れて超音波洗浄しているクリニックがあれば使用方法を見直す必要があります。超音波洗浄の目的は器具に付着した汚れ(有機物)の除去です。消毒ではありません。有機物の除去を確実に行うことによって滅菌不良や消毒不良を避けることができます。

超音波洗浄を行う際には「洗浄液」を用意する必要があります。水と超音波振動だけでは洗浄したいタンパク質を落とすことはできません。

超音波洗浄に必要な溶液は「タンパク分解酵素を含む洗浄液」です。洗浄液の中には酸性・中性・アルカリ性のものがあり、それぞれの利点がありますが、一般歯科医院では中性のものを使用する方が取り扱いが簡単だと思われます。

超音波洗浄機で洗浄するもの

超音波洗浄機で洗浄するものは何でしょう?

超音波洗浄はステンレス鋼製器材の洗浄に対して効果があります。特徴の1つとしてプラスチック・ゴムなどの柔らかい製品(例としてバキュームチップ、アングルワイダー、など)の類は超音波を吸収してしまうので超音波洗浄には向いていません。ただし、硬質プラスチック素材の中で一部超音波洗浄可能なものは存在します。洗浄可能かどうかを見分けないといけないため、プラスチック製品は超音波洗浄に向かないと考えていた方が簡単です。

より確実な洗浄結果を得るために心がけること

1.洗浄する器材を洗浄液に完全に浸漬すること(内腔のある器材は中に空気が残存しないようにしっかりと浸漬する)

2.ハサミやヒンジで連結した器材は重なった表面を最小限にするために開いた状態にしておく。

3.刃先やブレード部は器具同士が重ならないように配慮する。

4.洗浄液の成分が器材に残らないように超音波洗浄後のすすぎは流水下で徹底的に行う。

超音波洗浄機で洗浄禁忌なもの

・ハンドピース(モーター用ハンドピース、タービン)は内部洗浄可能のウォッシャブルマークが明記されていても超音波洗浄機に浸漬してはいけません。

・歯科用ミラー 超音波による洗浄で鏡面が損傷することがあります。(詳細は製造業者に確認してください)

超音波洗浄機使用の際に注意すること

小器具を洗浄するとき

超音波洗浄機を使用して洗浄する器具はリーマやファイル、バーなどの小器具、外科器材など多様に渡りますが小器具を超音波洗浄機で洗浄する場合はどのように行っていますか?小器具を洗浄剤入りのガラスビーカーや金属製カップに入れて超音波洗浄しているなら問題ありません。しかし、「プラスチック性の容器」や網目の「茶こし」のような容器に入れて洗浄を行っているようであれば、改善する必要があります。

軟性プラスチックでのキャビテーション効果減衰

超音波の音がうるさいからと、洗浄機の底に軟性のプラスチックマットを敷いて使用している場合は、シリコンマット上に設置された洗浄物へはキャビテーションが弱まり、超音波洗浄の効果は期待できないとされています。

バスケット網目(1mm)でのキャビテーション減衰

日本医療機器学会の2015年ガイドラインには超音波洗浄におけるバスケットの網目サイズによるキャビテーション減衰の影響として、1mmの網目がある茶こし状容器は、使用に向かないというデータが公開されています。洗浄物を投入するバスケットの網目(メッシュ)のサイズが洗浄性能に影響することが研究データで示されており、以下のグラフのように28kHz,20kHzの場合は網目が1mmだとキャビテーションが減衰します。キャビテーション効果を発揮させるためには、10mm以上(1cm)の網目が空いている容器やバスケットを使用することが適切です。

バスケット網目サイズによるキャビテーション減衰の影響

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出典:医療現場における滅菌保証のガイドライン2015/日本医療機器学会(P.48)

超音波洗浄機の洗浄液の交換のタイミング

超音波洗浄機内の洗浄液は適切に交換する必要があります。使用頻度にもよりますが、洗浄液は使用により汚染されていきます。洗浄液内での交差感染を防ぐためにもクリニック内でルールを決めて洗浄液の交換を行ってください。

ちなみに私のクリニックでは午前・午後のタイミングで洗浄液を入れ替えることにしています。

また、タンパク分解酵素入り中性洗浄液を使用している場合、液中に「ヨード」が混入すると洗浄液の効果がなくなります。口腔内の消毒でヨード系の消毒薬を使用しているクリニックは洗浄液にヨードの混入をしないように気をつけましょう。

 

まとめ

超音波洗浄機は洗浄効果を最大にするために守ることがあります。溶液にタンパク質分解酵素入りの中性の洗剤を用いることで器具に付着したタンパクを効率よく落とすことができまし、小器具の洗浄の際にはビーカーや金属のカップを用いて洗浄を行うことが大切です。器具は重なりが起こらないようにしっかりと水中に浸漬し、溶液は交差感染を防ぐためにも適度に交換をしてくださいね。

超音波洗浄機を有効に活用しましょう。

 

一般社団法人DHマネジメント協会
歯科衛生士 第2種滅菌技師 長谷川雅代

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長谷川雅代

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歯科衛生士/DHマネジメント専属インストラクター
「自ら積極的に清潔を促す行動ができる歯科衛生士仲間を増やしたい」の思いで院内の感染管理の周知のために活動中。
年に数回の講座を担当し、訪問セミナーも行う。
日本医療機器学会 第二種滅菌技士
日本アジア口腔保健支援機構 第二種歯科感染管理者の資格を所持。

歯科衛生士として臨床も続け、感染管理を広める活動の傍ら、スラッシュキャリアとしてウェディングブーケデザイナーとしても活動中。

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