スタンダードプリコーション

歯ブラシの再利用ってどういうこと?

みなさんの勤務されているクリニックでは患者さんに使用した歯ブラシはどうしていますか?

使用した歯ブラシは破棄するか、そのまま患者さんがお持ち帰りになられるなら問題はありません。
しかし、時々「消毒して再利用をしているので、なんとか改善したい」。と歯科衛生士の方から相談をいただくことがあります。
今回は勇気を持ってこの記事を書いてみました。「歯ブラシの再利用」を改善するための取り組みや提案方法についてお話しします。

家族だって一緒に使用しない

再利用の歯ブラシを使用される患者さんの気持ちを考えてみましょう。

歯ブラシは家族間であっても共有しないものですよね。消毒をしているとはいえ、見ず知らずの他人が使用した歯ブラシをあなたは使用できますか?患者は歯科医院を信用して、歯ブラシ指導をしてくれるあなたを信用して向かい合ってくれているのです。期待を裏切ってはいけません。

なぜ再利用をするの?

歯科医院内で歯ブラシを使用するのはおそらく、ブラッシング指導時と術者磨きを行う時でしょう。口腔衛生指導ではなくてはならないものだと思います。ではその大切な指導道具を再利用しなさいとルールを決めた理由は何でしょうか?

もしも、再利用できると勘違いしているなら訂正するだけです。

再利用しないためのアイデア

残念なことに再利用をする理由として「経費上の問題」というお話をお伺いすることもあります。それでは歯ブラシを再利用しないための方法を考えてみませんか?

歯科受診の際は歯ブラシを持参していただく

ブラッシング指導を行う際にはホームケア状態を知りたくなりますよね。実際にご自宅で使用されている歯ブラシをお持ちいただくことによって感染管理の問題も解決しますし、使用されている歯ブラシが口腔に適しているかの判断もすることができます。ブラッシング指導も術者磨きも患者さん持参の歯ブラシで行います。

患者さんが手軽に購入しやすい価格帯の歯ブラシを揃えておく

どうしても診療中に歯ブラシが必要になる場合、患者さんに購入をお願いしても負担にならない価格帯の歯ブラシを購入していただき、使用します。使用後はお持ち帰りいただくか、破棄します。

使い捨ての歯ブラシを準備する

歯ブラシ自体には耐久性のあるものは少なく、安価になればなるほどその傾向が強かったりしますが、診療中に術者磨きでプラークを落としたいだけなら術者磨きで十分に除去はできます。

実際に私が行っていた歯ブラシ活用法

歯ブラシの再利用を避けるために私が実際に行っていた方法をお伝えします。

ブラッシング指導時

初回のブラッシング指導の時のみ、オーラルケア社のタフト24を使用し、そのままプレゼントしていました。ホームケアで使用していただきたい歯ブラシでしたので使用感の確認にもなります。

2回目以降のブラッシング指導

2回目以降、ブラシング指導が必要な場合は模型上でタフト24を使用し説明をします。

プラーク除去をしたい時(ブラッシング指導以外で)

使い捨ての歯ブラシを準備しました。価格は1本5円。患者さんの毎日のセルフケアで使っていただくものではありませんが、術者磨きとしてプラークを単純に除去するために使用します。これなら1日に20人に使用しても経費は100円で済ませることができますし、使用後はもちろん破棄します。

私が行った歯ブラシの活用方法での感想

初回のブラッシング指導時で1人約80円程度の経費がかかりますが、使用感を理解してくださった患者さんはその後、使用が定着し引き続き購入してくださいました。また、1本5円の歯ブラシは毛の硬さも硬めで耐久性には欠けますが、患者さんご自身が使用していただくものではないので、術者磨きの際は、歯科衛生士がブラッシング圧を工夫したりして患者さんの口腔内に負担をかけずに清掃することはできました。

使い捨ての歯ブラシは、歯科用品のカタログ販売や、ウェブサイトを検索し販売店からサンプル請求することができます。数種類サンプル請求をし、価格と使いやすいものを話し合って決めました。

まとめ

歯ブラシを再利用しないために色々工夫できることはあります。再利用している歯科医院は「再利用しないためのアイデア」を考えてみてくださいね。

 

一般社団法人DHマネジメント協会
歯科衛生士 第2種滅菌技士 長谷川雅代

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長谷川雅代

長谷川雅代

投稿者の記事一覧

歯科衛生士/DHマネジメント専属インストラクター
「自ら積極的に清潔を促す行動ができる歯科衛生士仲間を増やしたい」の思いで院内の感染管理の周知のために活動中。
年に数回の講座を担当し、訪問セミナーも行う。
日本医療機器学会 第二種滅菌技士
日本アジア口腔保健支援機構 第一種歯科感染管理者の資格を所持。

歯科衛生士として臨床も続け、感染管理を広める活動の傍ら、スラッシュキャリアとしてウェディングブーケデザイナーとしても活動中。

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