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医療従事者の基本!まずは手洗い(手指衛生)を徹底しよう

「外から帰ったら手を洗いましょう。」「食事の前には手を洗いましょう。」聞き覚えのあるフレーズですね。学校、病院はもちろん、公共施設のお手洗いにも手洗いを推奨するようなポスターや、手の洗い方などが貼られていて「手洗いはそんなに大切なの?」と逆に疑問を持ちませんか?今日はなぜ手洗いが大切なのかについてまとめていきます。

なぜ手洗いが大切か?

手から始まる感染が多い

例えば誰もが一度は経験がある「風邪」。一般的な風邪は微生物に感染することで起こります。原因の微生物の8割から9割はウイルス性の感染になります。ですが、ウイルスの種類は現在わかっているだけで200種類以上あると言われているのでどのウイルスが原因でその症状が起こっているのか特定するのは非常に困難です。それらのウイルスは感染する際にはどのように人から人へ感染するのかというと、その感染経路は実は一番多いのが「手」を介しての感染なのです。

もちろん、くしゃみや咳も感染経路になりますが、「鼻をかむ」「くしゃみや咳を手で覆う」などの行為の際に手にたくさんのウイルスが付着することになります。その手のままで、電車の手すりやドアノブなどのいろいろな共用部分に触れることでウイルスが付着し、その部分を別の人が触れ、その手で自分の口や鼻、粘膜などに触れることによって感染が成立します。

なので、知らない間に手に付着している可能性のあるウイルスを、手洗いによって洗浄することが感染防止になります。

そのほか、食中毒は経口感染では、給食や食品の取り扱い時に注意が必要です。経口感染は糞口感染ともいいます。名前の通りに病原体を含む糞が手指を介して口に入る経路です。

直接排泄物が手についているのであれば手を洗わない人はいないでしょうが、厄介なのが「目に見えない」大腸菌が手にいつの間にか付着している場合です。それが手から口に入り感染が起これば「糞口感染」ということになります。大腸菌は排泄物の中だけでなく、水を流す際に菌が周囲に飛び散るなどして思いがけない場所に潜んでいる場合があります。例えば便座や水洗のレバー、トイレのドアの取っ手などです。

目に見えないですが大腸菌が付着している可能性は多いにあります。大腸菌は常在菌でもありますが中には病原大腸菌もいるので注意が必要です。大腸菌だけでなく、もちろんノロウイルスの感染経路でも同じことが言えます。「手を洗うこと」が感染防止のためには大切なのです。

医療従事者こそ手からの感染に配慮をする

医療従事者こそ、手からの感染を防止するために手洗い(手指衛生)を徹底する必要があります。感染管理のためにはまずは手指衛生からです。

「手指衛生」とは

手洗い、手洗い消毒、擦り込み式手指消毒などをさす言葉で、手の常在菌数を減らすために行う行為です。

手は見た目に汚れていなくても、病原性の微生物が付着している可能性があるので感染対策の基本中の基本として手洗いがあげられます。

特に歯科は「口腔内」という感染物質がたくさんある部位(唾液・血液・粘膜)での施術のため、感染リスクの高い環境です。その環境の中だからこそ、手洗いをしっかり行い、患者から患者、患者から医療従事者への手を介しての感染を徹底的に防止することが必要です。

個人防護具としてグローブを使用しますが、グローブは手指衛生の代わりではありません。グローブを装着する前後で必ず手指衛生を行い、清潔な手で医療行為を行うことが医療人としての基本です。施設を整えるための投資よりも、まずは、患者さんひとりひとりにグローブとマスクの交換、そして手指衛生です。まずはここから始めることが感染管理の近道です。

まとめ

一般生活者向けの手洗いの推奨も医療従事者の手洗いの推奨も目的は同じ「感染を防ぐこと」にあります。自分の体を病原性の微生物から守るため、病原性微生物を自分の手を介して他人に移さないようにするために基本中の基本~手洗い(手指衛生)を行いましょう。

一般社団法人DHマネジメント協会
歯科衛生士 第2種滅菌技士 長谷川雅代

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長谷川雅代

長谷川雅代

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歯科衛生士/DHマネジメント専属インストラクター
「自ら積極的に清潔を促す行動ができる歯科衛生士仲間を増やしたい」の思いで院内の感染管理の周知のために活動中。
年に数回の講座を担当し、訪問セミナーも行う。
日本医療機器学会 第二種滅菌技士
日本アジア口腔保健支援機構 第一種歯科感染管理者の資格を所持。

歯科衛生士として臨床も続け、感染管理を広める活動の傍ら、スラッシュキャリアとしてウェディングブーケデザイナーとしても活動中。

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