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整理しよう!次亜塩素酸ナトリウムの取り扱い

歯科医院で非耐熱性の器具の消毒に使用される消毒剤として次亜塩素酸ナトリウムを使用されているクリニックも多いのではないでしょうか?次亜塩素酸ナトリウムは中水準消毒薬ですが細菌・真菌・ウイルスなど幅広い抗微生物スペクトルをもち、歯科で注意が必要なB型肝炎ウイルスなどの血中ウイルスの消毒にも有効です。


次亜塩素酸ナトリウムは器具の消毒以外にも環境消毒にも使用できます。消毒剤は誤った使用をすると効果がでません。今回は器材の消毒に使用する次亜塩素酸ナトリウムの取り扱いを整理をしておきましょう

次亜塩素酸ナトリウム製剤の種類

次亜塩素酸ナトリウム製剤は0.5%,1%,6%,10%と様々な濃度で販売されています。使用目的によって濃度も異なるので何%の次亜塩素酸ナトリウムなのか確認をして希釈する必要があります。

また、希釈しやすい濃度のものを選択することもアイデアです。濃度の違いによって保管方法も異なります。6~10%の高濃度製剤は塩素が揮散しやすいので冷所保管です。0.5%,1%の低濃度製剤は室温保存が可能になります。

歯科で使用する際の推奨濃度

いくつかの文献を読んでみましたが、どの文献も歯科での絶対推奨の濃度の記載はなく、血液・体液などの有機物に汚染された器具・リネン類・環境の消毒には有効塩素濃度として0.1~0.5%の幅があります。

また、「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き」が2004年に改正されており細かく次亜塩素酸ナトリウムの位置付けがされています。

http://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/07/07_03.pdf

文献などによって推奨濃度の幅がありますので、各クリニックでの判断が必要ですね。
ちなみに日本歯科医師会監修の院内感染対策実践マニュアルの書籍ではウイルスは0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで有効と記されてあります。

なぜ使用濃度に幅があるの?

次亜塩素酸ナトリウムは低濃度でも強い効力を示す消毒薬です。しかし、汚れ(有機物)で不活性化されて効力低下を招きやすい特徴を持ち合わせています。例えば、0.01%液100mlに1mlの血清が混入すると有効濃度は元の5%程度になるのです。ですから使用濃度には幅を設けてあるそうです。

金属の場合はどうするの?

歯科領域で問題になるのは次亜塩素酸ナトリウムにおける金属腐食性です。見えないところで錆が発生し、金属疲労を起こすと故障の原因になったり、器具の寿命も縮めます。金属の製品で消毒の必要なものは耐熱性があるのであれば、高圧蒸気滅菌をすることが第一選択になるのではないでしょうか?

浸漬に使用した溶液はいつ取り替える?

次亜塩素酸ナトリウムは、温度、紫外線、有機物の影響を受け、濃度が下がります。そのため、基本的に用事調整をすることが基本です。

例えば、0.1%希釈液に器具を浸けた場合を考えると器具の洗浄度や希釈液に対する器具の量、保管状況等により濃度低下は異なるため、一概に決めることができません。一度使用した希釈液は濃度が低下している可能性があるため、消毒の頻度により新しく作り替えることが望ましいです。

非耐熱性器具の消毒例

参考までに私が行なっている次亜塩素酸ナトリウムを使用した薬液消毒の方法を記載しておきます。

NaClO2

使用方法

① 洗浄した器具を乾燥し、希釈した溶液に浸漬30分
② 浸漬後は水洗し、滅菌されたタオルで乾燥
③ 浸漬に使用した溶液はその都度破棄

NaClO1

まとめ

次亜塩素酸ナトリウムは微生物に有効な範囲が大きい上に低残留性です。しかし、有機物の存在で消毒効果が低下するので器材の消毒に使用する時は洗浄して有機物を除去することが必須です。適切に希釈することが大切になりますので目的にあった希釈を行い使用しましょう。

一般社団法人DHマネジメント協会
歯科衛生士 第2種滅菌技士 長谷川雅代

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長谷川雅代

長谷川雅代

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歯科衛生士/DHマネジメント専属インストラクター
「自ら積極的に清潔を促す行動ができる歯科衛生士仲間を増やしたい」の思いで院内の感染管理の周知のために活動中。
年に数回の講座を担当し、訪問セミナーも行う。
日本医療機器学会 第二種滅菌技士
日本アジア口腔保健支援機構 第一種歯科感染管理者の資格を所持。

歯科衛生士として臨床も続け、感染管理を広める活動の傍ら、スラッシュキャリアとしてウェディングブーケデザイナーとしても活動中。

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