企業で働く歯科衛生士はどんな働き方をするのですか?よく質問をいただきます。
就職するにあたって、実務経験は必要なのか?臨床の現場とはどんな違いがあるのかなど、興味はあるけど実態が分からない。そんな相談でよくある質問をまとめてみました。
この記事でわかること
企業歯科衛生士とは
企業歯科衛生士は、主に、患者を診るのではなく、企業で商品の開発や販売、セミナー講師として働く歯科衛生士のことをいいます。
臨床の歯科衛生士との大きな違いは、自分の顧客は、患者さんではなく医療従事者であることです。
また、出張などで、さまざまな場所へ行き、セミナーなどを行う仕事が多く、1件の医院で1日仕事をする臨床とは大きくことなります。
企業で歯科衛生士として働く場合の3つのパターン
① 営業
自社製品の営業を行うことを主な仕事にしています。企業によって、製品は異なりますので、製品の説明や使い方を含め、営業を行います。
また、歯科大学や歯科衛生士、歯科技工士の専門学校への営業や製品説明などの業務もあります。企業によっては、営業は歯科衛生士は行わない場合もあります。(採用をしていないこともある)
② セミナー講師
主に、自社製品を用いた、セミナーの講師業務があります。
例えば、超音波スケーラーを販売している企業では、使用方法などを解説するセミナーを開催しています。フロスや歯ブラシのセミナーなど様々です。自社の研修ルームで開催する場合や、出張で医院へ訪問して行う場合などがあります。
企業歯科衛生士として、企業製品のセミナーをする歯科衛生士の需要は増えてきています。
③ 企画商品開発
自社製品の新商品の開発に携わる仕事をする、予防製品の開発(歯ブラシや歯間ブラシなど)スケーラーの開発、ディスポ製品の開発などを行います。
また、会社の製品によっては、機械類などの開発に携わることもあります。
企業歯科衛生士の主な仕事内容
企業歯科衛生士が行う仕事内容は、企業によって違いがありますが、主な仕事内容と活躍の場を紹介します。
デンタルショー出展
デンタルショーや学会でのブース展示の際に、ブース内で商品の説明を行う仕事があります。
また、最近では、ブース内でミニセミナーを行うこともありますので、展示ブースでのセミナー講師として活躍することができます。
デンタルショーや学会の事前準備や、機材の搬入、什器の設置なども仕事になります。それに伴い、商品のカタログやパンフレットなどのアウトラインの作成なども歯科衛生士が行う場合もあります。
セミナー運営
企業で、講師を招いてセミナーを行う際には、セミナーの運営側として、仕事を行います。事前準備や集客、当日の受付から片付け、参加者の対応なども業務に含まれます。
企業によっては、セミナー企画部と営業部など部署がわかれていることもあります。
セミナー講師
企業歯科衛生士として、自社製品をはじめとしたセミナーを開催する仕事があります。自分でセミナーを行うため、ある程度決まった内容に加えて、セミナーのスライド作成や資料作成、会場の準備なども行います。
商品開発
商品開発部などの部署がある企業では、新商品の開発に携わる仕事もあります。多くの場合は、商品開発部として部署が設置されているため、開発のための研究や他社製品のリサーチ、さらには市場のリサーチなどが主な仕事になります。
企業によっては、他の仕事もしながら、商品開発を任される場合もあります。
取材
自社の雑誌がある場合は、製品の紹介の他に、ユーザーの声を掲載していることもあり、ユーザーの取材を行う仕事もあります。歯科医師や歯科衛生士のインタビューや、取材の記事作成なども業務に含まれる場合もあります。
企業によっては、専門の取材班が行うこともあります。
商品説明
歯科医院へ直接お伺いして、製品の説明を行う業務があります。多くは、予防製品の導入後に、歯科衛生士や受付の方へ製品の説明を行います。
また、歯科大学、歯科衛生士専門学校などで、製品の紹介を含めた授業の展開を行う企業もあります。
企業歯科衛生士に求められるスキル
企業歯科衛生士に求められるスキルは、一般の臨床の歯科衛生士に求めらるこことに加えて。さまざまなことが求められます。
コミュニケーション能力
求められるスキルとしては、まずは、コミュニケーション能力です。セミナーを行う立場として、人に伝える力が求められます。
歯科の専門知識
また、演者の先生との打ち合わせなどもあり、基礎知識はもちろん、最新の医療技術についての幅広い知識が求められます。
他社製品の知識
展示ブースなどで製品説明にあたる際に、「他社とは何が違うの?」と質問をされることもあり、他社と比較するわけではありませんが、他社の製品の特徴も知ったうえで、自社製品の特徴をお伝えできることが求められます。
マーケティング
自社製品を知ってもらうためにはどのようにマーケティングを行なっていくか、また、ファンになってもらうためには、どのようなことが必要かなど、市場を読み取り、市場へ働きかけるマーケティング力も求められます。
実務経験
企業によっては、臨床での経験がある人材を優先して採用する場合とそうでない場合があります。
経験があることで、患者さんとの体験談を話すこともできますし、製品の使い方なども理解できたうえで、顧客との会話ができます。
ただ、臨床での経験がないからといって、企業歯科衛生士として働けないということはなく、自分自身の在り方が大切だと考えています。
企業歯科衛生士の良くある質問
企業歯科衛生士に関するこれまで受けた質問についてまとめます。
残業はありますか?
事前準備や急なお客様の対応などで、時間の読めない職種でもあります。また、歯科医院の診療時間が終わった後に医院へお伺いすることもあります。
さらに、セミナーやデンタルショー、学会などの準備で早朝に出勤したりすることもあります。
出張はどの程度ですか?
セミナーやデンタルショー、学会は様々な地域で開催されます。
全国に支店のある企業であれば、それほど出張はありませんが、本社1店舗のみの企業の場合は、全国へ出張へいくことがあります。
休日はありますか?
基本的には、週休2日ですが、セミナーやデンタルショー、学会は、日曜日に開催されることが多いですので、不規則な休みの取り方になります。
同月にデンタルショーや学会が重なっている場合は、土日のほとんどが出勤というケースもありますが、その分、代休として平日にお休みすることができます。
給料の相場はどのくらい?
年棒で350万~500万でその他に、出張費や休日出勤などの手当てがつくことがあります。
ノルマはありますか?
ノルマはある企業もありますし、ない企業もあります。基本的には会社なので、売上目標があり、目標達成に向かって仕事をしますので、売上数字を意識することは当然のことです。
最後に
いかがでしたか?企業で働く歯科衛生士は臨床で患者さんを診ることとは大きくことなりますが、製品をやセミナーを通して、多くの歯科医療従事者へ情報を提供することで、間接的に多くの生活者の口腔の健康に寄与できるのではないでしょうか?
歯科衛生士であれば、どんな働き方であっても、生活者の健康を支援したいという思いは、同じだと思います。企業歯科衛生士も歯科衛生士としてやりがいのある仕事だと考えます。