人材育成はどの会社においても永遠のテーマのようです。皆さんも一度は経験があると思いますが、真剣に教えているのにやる気になってくれないとか、仕事のミスを指摘しても一向に改善されないなど、やる気なし、ダラダラする。人が育たないという困りごと。その場合、ほとんどが覚えるの遅い、やる気がない、意識が低い覚える側の問題で、本人がやる気がなければどうしようもない。そのように考えている人もいるかもしれません。
もし、それしか原因がないというのならば、そもそも人材育成という言葉すら意味をなさなくなります。人材育成がうまくいかない職場の共通点はこの2つ
①「育たないことを教わる側のせいにしている」
②「育つための仕組みがない」
①育たないことを教わる側のせいにしている
あなたの医院ではどうでしょうか?育たないことを教わる側のせいにしている。あの子は自分で考えない、言われたこと以外にはやろうとしない。そんな言葉をよく耳にします。そう言ってしまうのは簡単ですが、これを口にしたところで、教わる側の人が育つわけではありません。このように他責にしてしまっても何も解決はしないのです。
自分が新人だった頃を思い返してみてください。もし、先輩に、自分で考えて動いて。と言われても、考えろと言われても、何をどう考えればいいのかも分からない。どうしろってこと?と思うこともあったのではないでしょうか。このような状態では、モチベーションも下がり、指導者への信頼もなく、不信感が募るばかりです。自ら考えることもなく、言われた頃すらやりたくないそんな悪循環になっていくのは誰にでも分かることであり、経験もしたことがあるのではないでしょうか。
返報性の法則
そんな時に、一つ、覚えておきたいのは、「返報性の法則」という言葉です。返報性の法則は、相手に親切なことをしてもらうと自分も同じように恩返しをしたくなるといった人間心理です。これは、逆もパターンにも存在します。返報性の法則は相手親切にしてもらうと自分も相手に同じように親切にしたいと思う。相手に嫌なことをされると自分も相手に同じように仕返ししたくなる。このように、両方が返報性の法則です。
例えば、教える側の自分が、覚えるのが遅いのは相手の責任と、他責してしまうと、相手も覚えられないのは、教え方が下手だからだ。と、他責化してしまうのです。あなたにもそんな経験がありませんか?歯科に限らず、学生時代の部活でのコーチや学校での授業の担当の先生など、教えられてきたからこそどんな指導者だと伸びるのか、自分でも経験していると思います。
ただ、人が育たないのは、育てる側の責任だということではなくて、教え方を少し変えるだけで相手も変わるということを理解して、教え方を見直すことから始めていけば、こちらが変われば、相手も変わると思うのです。
②「育つための仕組みがない」
育つための仕組みは、マニュアルさえあれば実務的なノウハウは理解ができます。例えば、マナーの本を読めば言葉使いの知識は習得できますし、モチベーションの上げ方の書籍も多くあります。これだけ多くの書籍が出回っていて読んでいる人も多くいるはずなのにモチベーションを維持できていないケースもあるのが事実です。
そこには、マニュアルだけでなく、維持するための「環境」が整うことが必要で、育つための仕組みにはマニュアルと環境の両面が整うことが大切なのです。マニュアルがなくても環境が整っている医院は多くあります。教える体制がある医院です。
ただ、その場合、教えても、相手が覚えにくい順番で教えていたり、実務的な優先順位の高いことから教えている場合が多く、いきなり応用的なことからスタートしていて、新人には覚えにく順番になっていることもあるようです。
まとめると、育て方のノウハウと育つための仕組みと実務的なマニュアルの3つを整えていくことが人材育成の近道ということになるのだと考えます。
一般社団法人DHマネジメント協会
歯科衛生士 塚本千草
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