コミュニケーションにおいて重要な要素である「人に合わせる」という事。人に合わせると単純に言っても「どうしたらいいの?」「何を合わせたらいいの?」「合わせてるつもりなのに」と思う事がよくあると思います。簡単なようで上手くできないという方も多いのではないでしょうか。
コミュニケーションの相手がどんなタイプかを知り、それに合わせたコミュニケーションを取る「ペーシング」について解説します。
ペーシングとは
ペーシングとは簡単にいうと言葉そのまま「ペースを合わせる」という事です。コミュニケーションスキルとして使われる信頼関係を築くためのテクニックです。他にミラーリング、バックトラッキング等があります。
ペーシング
ペースを合わせる事。話し方や相手の状態、呼吸や表情など。会話のスピードが合わずイライラした経験はありませんか?ものすごく急いでいて質問をしているのに相手からの返答が遅く話し方もゆっくりだと「急いでいるのに分からないのかな?」と思ったりしますよね。会話のペースが合わないだけで、「なんとなく合わない」と無意識で感じてしまいます。
バックトラッキング
おうむ返し。相手の言葉を繰り返す方法。
例:A「昨日、箱根旅行行ってたんだけど蕎麦がすごく美味しかったんですよ」
B「そうだったんですね。」
ではなく
A「昨日、箱根旅行行ってたんだけど蕎麦がすごく美味しかったんですよ」
B「箱根のお蕎麦がすごく美味しかったんですね」
というように相手の言葉を繰り返しながら会話を進める方法です。
ミラーリング
相手の表情や仕草を繰り返し真似をする方法です。
会話の内容がポジティブであれば相手は笑顔で会話をしますし、ネガティブであれば悲しい表情をしていると思います。相手の話す内容に合わせ表情も合わせる。また仕草も同様に相手が飲み物を飲んだタイミングで一緒に飲み物に手を伸ばすなど。
全てはペーシング
バックトラッキング、ミラーリングなどコミュニケーションスキルはありますが、全てはペーシングなのです。バックトラッキングは言語のペーシングの方法、話し方やクセなどを含めた言葉のペーシングです。ミラーリングは非言語のペーシングの方法、表情や仕草などを含めた言葉を使わないペーシングの方法です。
単純に言葉のペースを合わせるだけでなく、相手の使っている言語、表情などを合わせる事全てがペーシングであり、これが出来るだけでコミュニケーションスキルが格段にアップするのです。
ペーシングの効果
ペーシングの効果は相手に安心感を与え信頼関係を築ける事です。
安心感
自分と同じテンポの人だという安心感。自分と似ている=自分の事を理解してくれるだろうという安心感。
信頼関係
心地よいコミュニケーションが続く事により、コミュニケーションの相手への信頼関係が高まります。
「きっとこの人なら自分の事を理解してくれている」「この人なら任せられる」など相手の警戒心を取り除き且つ信頼の置ける重要人物として認識される事ができます。
ex. 若年層のブラッシング指導(高校生や大学生など)
A「こないだ言ってたブラッシング、あれからちゃんとやってきたよ」
B-1「そうだったんですね、ではまた染め出しをして確認をしてみます。」
と会話を続けるより
B-2「そうなんだね、すごいじゃん。じゃあ今日も染め出ししてどれだけ頑張ったか見てみよう!」
と続けた方が相手も話しやすさを感じてくれるはずです。
相手の使っている言葉を使いなるべく言い直しをしない。(間違っている場合は訂正しもて良いと思いますが)
「ここの歯茎が~」と患者さんが言っているのに「右下の歯肉ですね」ではなく「右下の歯茎ですね」と続ける
「ここに歯垢がよく溜まってしまう」と患者さんが言っているなら、あえてプラークと言い直しをしない。
相手の使うコミュニケーションを理解し言語、非言語的にペーシングをしましょう。
まとめ
コミュニケーションスキルの一つである「ペーシング」これができるだけでワンランク上のコミュニケーションができるようになります。
いつも自分のやり方で、自分のペースではなく、相手をよく観察し理解することから始めてみてください。相手に合わせるために重要なことは観察すること。まずは観察し相手のタイプを知る。言葉のスピードは?声のトーン、大きさは?言葉はどんな癖があるの?表情仕草は?とよく観察する。
そして相手を理解し、ペーシングすることでお互いに共感する事ができます。
理解し共感をする事で安心感がある信頼関係を築く事ができるようになります。ぜひ試してみてくださいね。