目標設定のフレームワークSMARTを知っていますか?歯科衛生士に「目標を設定してね」と目標を提出してもらうと、「意識します」「努力します」といった、とても抽象的な目標が提出されたという話はよく聞きます。 その抽象的な目標を簡単に具体化するたのフレームワークがSMARTです。
今日は、歯科衛生士における目標設定についてSMARTを用いて解説していきます。ぜひ参考にしてください。
SMARTとは
SMARTは、ジョージ・T・ドラン氏が1981年に発表した目標設定法で、目標達成を実現させるために欠かすことのできない「Specific」「Measurable」「Assignable」「Realistic」「Time-Bound」という5つの要素で構成されています。
Specific:具体的な・・・・設定した目標は明確なものかどうか
Measurable:測定可能な ・・・目標達成や進捗度は測定可能なものか
Achievable:達成可能な ・・・達成可能な目標か(低すぎず、高すぎない)
Relevant:関連のある ・・・関連性はあるか
Time Bound:期間を決めて ・・・いつまでにという期限を設けているか
5つを取り入れた 目標を設定するフレームです。
目標設定の具体例1
例えばこのような目標が設定されたとします。
「意識してホワイトニングをすすめる」
これでは、抽象的で目標が大まかなものです。そして評価がしにくい目標です。そこでSMARTのフレームワークを活用するとより具体的になることをご紹介します。
Specific:具体的な ・・・メインテナンス来院者へオフィスホワイトニングを
Measurable:測定可能な・・・ 40名に説明を行い
Achievable:達成可能な ・・・そのうち15名に理解してもらい実施する
Relevant:関連のある ・・・医院の理念に基づいて
Time Bound:期間を決めて ・・・6月までに
と少し具体化されてきました。
そして、もう一度見直し、文章にしてみると・・・
医院の理念である患者の笑顔を!を達成するために、6月までにメインテナンス来院者40名にホオフィスワイトニングの説明を行い、そのうち15名に実施する。という目標になります。
もちろん、誰にでもホワイトニンングを勧めるということではありません。メインテナンスへ通い、もっとキレイになりたいと望んでいる方に勧めていくのは当然ですね。
意識する、努力するという言葉では評価することができません。 目標を立てた後に、SMARTのフレームに落として考えることでさらに具体的な目標を設定することができるようになります。
メタファーで具体的にイメージする
いざ、SMARTを使って「目標を立ててみて」と言ってみたところで、 いざ目標を書いた用紙をみてみると、やはり、「意識します」 「努力します」 「頑張ります」 「時間のあるときにやる」 など、かなりアバウトな言葉を使った目標が提出されることがあります。
それは、仕方がないことです。これまでに具体的な目標設定をしたことがなければ、できなくて当然なんです。そこで、先輩のあなたがイライラしたってそれはイライラ損です。
なので目標設定の方法を教えることが必要なんです。
そこで、身近に感じられる例えを用いることで、イメージをしてもらい、目標設定をしやすくします。友人で20年以上、ダイエットを継続している方がいますが、ゴールが明確ではありません。 だけど、8月にハワイでビキニを着る!という具体的なゴールがあると行動も明確になりますよね。 これは「メタファー」と言って相手に伝わりやすい例え話を用いて説明する方法です。
目標設定の具体例2
ダイエットをする!痩せる!だけでは、いつまでたっても痩せることはありませんん。明確な目標を持つことで目標を達成するための行動ができるようになります。SMARTフレームを活用するとこのように具体的な目標設定ができるようになります。
その後の行動計画も大事
目標を設定したら次に行うことは、行動計画を立てることです。目標だけ立ててそのままになってしまっている。そういうことは良くあることです。なので、その後の行動計画を立てることも大切です。
●/●までに■をする
●/●までに■をする
と具体的に目標達成の日まで行動の計画を立てることで目標を達成することができます。
例えば、先ほどのホワイトニングの目標の場合、
(5/1までに) 今月の来院予定の患者で提案できる人をリスト化する
(5/18まで) 持ち帰り資料を40部準備する
(5/20までに)提案時のビフォーアフターの写真集で説明の練習を5回する(ipad)
(5/25までに) 女性、男性、学生、それぞれに合わせた提案方法を考える
(5/27までに)提案と結果がわかるように提案・結果表を作成し管理する
(5/29までに)医院のブログでホワイトニングについてコラムを書き、SNSでも周知する
とった感じです。
計画を立ててもそのようには進まないよ・・・そういう意見もありますが、ここでは、まずは、計画を立てて、毎日の積み重ねが目標に近づくことを認識するためにも 行動計画まで落とし込むといいです。
そして目標をよく見える場所に掲示することで、毎日確認できるようになります。 医院内であれば、ロッカーに貼っておくとか、共有の連絡ボードに貼っておくなど、いつでもみれる場所で確認できるようにしておきます。
自分自身の目標設定もできる
毎日が同じように過ぎて行く。もし、そう思っているとしたら・・・
「いつもと違うことをする」という目標を立ててみてください。それをSMARTのフレームに落とし込んでみる。
なんでもいいんです。「自分から声をかけてみる」ちょっとしたいつもと違う行動が周りにも影響を与えます。周りを変えることはできません。変えることができるのは自分だけです。
もし、周りに何にも変化がない。そう感じてるとしたら、自分自身が変化をしていないということ。そう考えて、今を振り返ってみると自分にできることがあるって気づけると思います。
まとめ
歯科衛生士のための目標設定は医院の理念に基づき、具体的かつ数値で評価できるものに設定します。そのために活用できるのが、SMARTのフレームワークです。新人教育にも、組織の目標設定にも、自分自身の目標設定にも活用できるフレームですので、ぜひ試してみてください。
一般社団法人DHマネジメント協会
代表理事 塚本千草